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それが間違いだとしても
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カワちゃんが連れ去られた後
オレは不良が集まりそうな場所を手当たり次第回った
でも、どこにもその不良集団は居なかった
走っても走っても手掛かりは掴めなくて
途方にくれていた時、オレの携帯が鳴った
慌てて携帯を見てみると添付メールが一通
差出人はカワちゃんだった
けど送り主はその不良集団を組織している頭・・・
メールの内容を見ると血の気が引いた
“ お前の行動は常に監視してる。
変な真似をしたらすぐにこの男を殺す ”
「なっ・・・」
そして、添付されていた写真には
黒いガムテープで口を塞がれ
両手足を縄で拘束されるカワちゃんの写真
ナイフを首に突き付けられ、顔には殴られた痣があった
「・・・っ・・・和希っ」
携帯を持つ手に力が入る
たった一瞬でもオレが側を離れてしまったせいで
大切な人が人質に取られてしまった
不甲斐ない自分に苛立ちが生まれる
メールの内容はまだ続いていて
“ 1時間毎にこの男の現状を写真で送ってやる
ただしお前がこの事を誰かに話せば
次に送る写真はこいつの死に顔になる
それが嫌なら大人しく指示に従え ”
そう書かれていた後に
後日、俺達の元へこの男を連れて来いと
ある名前が記載されていた
「・・・・・っ、くそが」
携帯を閉じ、また走り出したが
どこかでオレの事を監視してる奴がいると分かると
オレはすぐに足を止めた
今の状態では下手にカワちゃんを探せない
どうしていいか分からなくなった時
頭に浮かんだのは新さんと秋人さんだった
オレ達がピンチの時は
必ずあの人達は助けてくれた
だけど今の状態では二人に助けを求める事も出来ない
そう分かっているのに
オレは秋人さんに電話をしてしまった
『なんだそれ、なんかのアンケートか?』
今、カワちゃんが連れ去られたと言えば
きっとこの人は助けてくれる
「・・・そ、そんな感じっス!」
だけど・・・言えない
「ははっ、さっきカワちゃんとそう言う話してて
秋人さんならどうすんのかなー?って」
言ったら、和希がどうなるか分からない
「・・・・・・・」
『土屋?』
何も出来ない
助けを求める事も出来ない
「な、なんでもないっスよ」
助けに行く事も出来ない自分が
情けなくてしょうがない
『俺はどっちも助けるぞ』
「・・・・え」
『どっちかなんて選べる訳ねえだろ』
「選ばないと駄目なんスよ!」
電話の向こうから、そう言われた瞬間
オレは反射的にそう返してしまった
『な、なに大声出してんだよ・・・』
どっちも助けるなんて・・・
それが出来るなら
オレだってこんなに悩んだりしないっスよ
連れて来いと書かれていた名前は
ダチの名前だった
好きな人を助ける為には
ダチを犠牲にしなくちゃいけない
けど逆らえば、和希は・・・
「どっちもは、無しっス・・・・・」
大切な人間を天秤に掛けさせるあいつのやり方
昔から変わってない卑怯な手口
『んー、そうだな。なら恋人を助ける』
「・・・・・へ?」
『恋人は俺が助けて、ダチはダチに助けてもらう』
・・・ダチに助けてもらう
『別にその助けを求める2人の前には
自分しかいないとは言ってねぇだろ?』
「・・・え・・・は、はい」
『なら、信じてるダチに、ダチを助けてもらう。』
「・・・・・」
『そしたらさ、最終的にどっちも助けれるだろ』
秋人さんはそう言って笑った
「・・・そっスね・・・」
そして秋人さんの答えを聞くと
オレも笑みが零れた
「秋人さんらしいっス・・・」
『ははっ、そうか?』
「・・・・・うス」
秋人さんの言った言葉を聞くと
今自分が何をすべきか分かった
「すみません。忍ちんと一緒のとこ邪魔しちゃって」
『あぁ、いいよ。また連絡して来いよ』
たとえ自分が出した答えが
間違いだったとしても
「・・・また連絡します」
オレは、秋人さんを信じるっス
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