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オカンの素質
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絆創膏を取りに行くと言って
その15分後に秋人君が戻ってきた
「悪りぃ!遅くなった!」
またごめんごめんと
顔の前で手を合わせて謝って来る
「あ・・・だだ大丈夫だよ」
15分間の間に、血はもう止まってしまったよ
「指出して、今貼るから」
「う、うん」
そう言われて指を出すと
秋人君はせっせと絆創膏を貼ってくれた
「・・・・」
「・・・・・よし。」
だけど、さっきの動悸が収まらなくて
僕の指が小刻みに震えている
「ん?忍?どした?」
「ひゃっ!」
じぃーと秋人君の事を見てたら
急に顔を覗き込まれて体がダイナミックに跳ねた
「ぬあ!いえっな、なんでもないっス!」
「え?」
くそっ!何変な喋り方してんだよ僕!
「ははっ、土屋みてぇな喋り方だなw」
「へ?」
「実はさっき土屋から電話あったんだよ
だから戻って来んのちょっと遅くなった」
つ、つっちーさんから電話?
電話してたから僕は15分間も放置されてたのか
「忍が、◯◯っスとか言ったら調子狂うなw」
いや。さっきのはテンパって言ってしまっただけだよ
「ほら、忍はあっちで待ってな。後は俺が飯作るから」
「ふぇ?・・・でも僕っ」
まだあいつ(人参)を切り終えてないよ
任された事を成し遂げて無いのに
そんな待ってろだなんて・・・
そう思うと何か悔しくなって
まだ手伝うよって言ったら
秋人君が頭をガシガシと撫でて来た
また僕の心臓が煩く騒ぎ出す
「じゃ、じゃあ待ってます」
「おう。美味い飯作ってやっから」
「・・・・へ、へい」
とにかく、顔が赤くなる前に
一度この場を退散して落ち着こう
別の部屋に入って自分の頭に手を置いてみたら
少しだけ秋人君の体温が感じられた
「頭・・・撫でられた」
学校から帰る時は、撫でて来なかったのに
さっきは、今までみたいに撫でてくれた
「・・・って何にやけてるんだよ」
ぺちんと自分の頬を叩いて
気持ちを引き締めて床に座る
僕は秋人君なんか好きじゃないんだ
ただ頭を撫でられたくらいで
ゆ、指を舐められたくらいで
すすすすす好きになるなんてありえない
僕は先輩が好きなんだ
そんな簡単に心変わりなんてするワケない。
落ち着こう。相手は鷹中の元ツートップ
鷹中の噂は本当にひどいものだった
逆らったら僕の身が危ないんだ
きょ、今日だって・・・
仕方ないからこうしてここに来てるんだ
「って・・・そうだよね・・・」
そうだよな?僕よ。
秋人君が怖いから、
断れなかったからここに居るのに
「・・・と、止まれよ」
ドキドキ煩い心臓の音が止まらない
「忍!」
「はひゃあっ!!」
「!?!?」
「っ!」
もうっ!だから急に名前呼ばないでよ!
本当に心臓止まるかと思ったじゃないか!
「な、なななんでしょう?」
胸を押さえながら振り向くと
これまたニコニコ笑顔の秋人君が
おたま片手に僕を見ていた
もうその姿はオカンだよ。
お母さんを超えた立派なオカンだよ
「肉じゃがを再度煮詰めてんだけど
もうすぐで出来るから」
「へ?」
「手!洗ってこい!」
「・・・・・・」
ドカンとそう言って秋人君はまた台所へ向かった
肉じゃがを再度煮詰めてるって
手間掛けてるなあ・・・
なんて冷静に思いながら僕は洗面所に向かった
「はぁ・・・・」
水で手を洗うと、盛大なため息が出た
秋人君。
今日一つ分かった事があるよ。
君は悪名高き鷹中の元ツートップだよ。
だけどね。だけど今は
「よく出来たお母さんだよ」
鏡に映る自分を見ながら
僕はそんな事を呟いた
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