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しっかりしなくちゃ
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ビクビク震えながら泣いていると
そんな僕を見つめたまま
カワちゃんさんは何度もごめんと言ってきた
掠れた声で
消えそうな声で
何度も何度も謝ってきた
「那央・・・悪くない・・・」
「へ?・・・」
なお?・・・那央ってつっちーさんの事?
「・・・那央、おれの為に忍、連れてきた」
え・・・・・な、なに?
「おれ弱い・・・だから捕まった・・・」
カワちゃんさんがそう言った時
さっきつっちーさんとあの男が
返す返さないと話していた事を思い出した
「おれの・・・せい・・・忍、ごめん」
「・・・っ・・・」
カワちゃんさんは人質にされた・・・
つっちーさんは、カワちゃんさんを
助ける為に僕を
でも・・・なんで僕?
この人達と知り合ったのは最近なんだぞ
お互いの事なんか全然知らないのに
関係さえまだ薄っぺらいのに
なんで僕が捕まらなくちゃいけないんだ
僕を捕まえてどうするつもりなんだよ
「・・・っ・・・グズッ・・・」
どうして僕をこんな事に巻き込むんだ
だから不良なんて嫌いだ
「っ!!」
!?
ボタボタとまた涙を流していたら
カワちゃんさんの苦しそうな声が聞こえた
「カワちゃんさん!?」
慌てて顔を上げると
カワちゃんさんは顔をしかめて
小さい声で痛い、痛いと言っていた
「血・・・血がっ」
やっぱり、頭を怪我してたんだっ
「か、かかカワちゃんさん!」
髪の毛の先から垂れ落ちる赤い液体
地面を見てみると
カワちゃんさんの真下は赤黒い染みが広がっていた
「あ・・・ぁあ・・・」
また怖くなって、体が震えだした
「しのぶ?」
だけど、僕を見てカワちゃんさんは少し笑った
「忍、大丈夫・・・これ、血・・・違う」
「へ?」
血じゃない?
「なっ、でででもっあか、赤いよっ」
血じゃない??ならなんだ?
痛いって言ってたじゃないかっ
「喉渇いた、言ったら・・・ワイン、かけられた・・」
「へ?ぁ、わ、ワイン??」
え?じゃ、じゃあ
これは赤ワインと言うことでよろしいのか?
は?え?なに?
「ででででもっさっき痛いって」
痛い痛いって言いながら
頭ブンブン振ってたじゃないか
もうワケ分からなくて
目がぐるぐるとしてきた時
またカワちゃんさんは笑った
「頭・・・痛くない・・・」
へ?
「体も、痛くない・・・」
「なっ・・・」
痛くない?そんなワケないだろ
体中ボロボロじゃないか
「カワちゃんさ「心」」
「??」
「心、痛い・・・」
「こ、ころ?・・・」
そう呟いたカワちゃんさんは
目にいっぱい涙を溜めていた
・・・なんで、心が痛いんだ?
「那央、忍の事好き・・・」
「え?」
「おれ、忍の事好き」
な、なななな何を??
突然の告白!?!?
「・・・秋人さん、忍、大好き」
「っへ?」
急に秋人君の名前が出てきて
心臓がトクンと跳ねた
「守ってって・・・言われてた」
「ま、守る?」
そう聞き直すと、カワちゃんさんはコクっと頷いた
「なのに、忍・・・危ない目合ってる」
「・・・守るって・・・」
それは、秋人君に言われたからだろ?
僕を好きって思うのも
僕が秋人君の連れだからだろ・・・
だけど自分達が危なくなったら
簡単に僕を不良に引き渡した
結局僕は、君達にとって
秋人君の連れという以外何でもないんだ
ほんとは僕の事なんてどうでもいいんだろ
カワちゃんさんが謝ってるのも
秋人君に対してなんでしょ?・・・
「・・・心、痛い」
「っ・・・」
何が痛いんだよ
僕の方がずっとずっと痛いよ!
「大事な友達、おれの為に連れてきた・・・」
「・・・・」
「那央の気持ち、考えると・・・心、痛い」
「・・・え?」
つっちーさんの気持ち?
「・・・ごめ、ん・・・・」
また顔を上げてカワちゃんさんを見ると
ボタボタと涙を零していた
「か、カワちゃんさん・・・」
「怖い・・・思いさせて・・・ごめん」
「・・・・」
僕は、何を考えてたんだ・・・
「・・・那央の事、嫌い・・・ならないで・・・」
「・・・・」
僕の事・・・こんなに思ってくれてるのに
また僕は周りの人を全否定しようとしてる
僕なんかをって、またそんな事考えてる
「忍、ごめん・・・ごめん・・・」
カワちゃんさん達は
ちゃんと僕を友達として思ってくれてる
簡単に僕を引き渡したんじゃない
仕方なかったんだ・・・
「ゔぅ・・・っ、グズッ・・・ごめ・・・」
カワちゃんさんはずっと謝りながら泣いてる
僕より、体も心もきっと痛いハズなのに
僕を思って・・・つっちーさんを思って泣いてる
「・・・っ!」
僕が、しっかりしなくちゃ
「カワちゃ「お〜、目ぇ覚めてんじゃん」」
!?
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