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普通じゃない
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「んぐっ!ンンーッ!」
秋人君の名前を何度も叫んでいたら
後ろから氷崎という男に手で口を塞がれ
何故か縛られていた手は解かれた
縄が外れると手首がジンジンと痛んだ
「土屋ぁ」
!?
この男がつっちーさんの名前を呼び
僕の頬にヒヤリとしたナイフの面を当てられると
また全身を恐怖が支配する
それよりもこの男から発せられる殺気に押され
僕はゴクっと唾を飲んだ
「なっ、和希!」
つっちーさんの視線の先を見ると
髪を掴まれ、首にナイフを向けられる
カワちゃんさんがいた
そして同じように僕の頭を掴み
ナイフを首に当て氷崎という男はにやりと笑った
「土屋、選べ」
「!?」
ぺちぺちと、また僕の頬にナイフの面を当てた後
この男はナイフをつっちーさんの元に放り投げた
「氷崎・・・なにを」
「この男を刺せ」
!?
氷崎という男は僕を指差してそう言った
「は?・・・」
「お前がこいつを刺せたら、
菅原もお前の連れも助けてやるよ」
ぼ、僕を・・・刺す・・・?
「出来ねえなら、お前の連れと
菅原はこのまま殴り殺すぞ」
何を言ってるんだ
そ、そんな事本気でするわけ・・・
「がはっ」
「秋人さん!!」
この男が目で不良達に合図を送ると
不良達はフラフラの秋人君にまた殴りかかり
そして倒れた秋人君の頭をグリグリと足で踏みつけ始めた
涙で揺らぐ視界に、秋人君が苦しむ姿が映る
「簡単だろ。サクッとやればいいんだよ」
「ってめえ!!」
「この真面目君がお前らの周りウロウロしてっと
お前らまで腑抜けになんだろ」
「ざけんじゃねえ!忍ちんから離れろ!」
「あーあーうるせえなあ。殺せとは言ってねぇだろが。
どこでもいいんだよ。自分達と関わればこうなるって
教えてやるためだよ」
そう言った後、今度はカワちゃんさんを
押さえつけていた不良に向かって
この男はまた目で合図を送った
そして合図を受け取った不良は
カワちゃんさんの頬をナイフの先でツゥーと引っ掻いた
「和希!!」
カワちゃんさんの頬から
ポタポタと流れ出る赤い血
「早くしろ」
この男は本気だ
本気で僕の事を・・・
「・・・くっ・・・」
つっちーさんを押さえていた不良は
腕から手を離してつっちーさんから離れた
そして、震える手でつっちーさんはナイフを拾った
「し、忍・・・ちん・・・」
両手で握りしめて、ガタガタと震えてる
「土屋・・・やめ、ろ」
少しずつ、つっちーさんが僕に近付いて来る
「っ!ンンッ!ンーッ!」
僕は首をブンブンと横に振った
友達に刃物を向けられて
膝がガクガクと揺れ始めた
「ははっ、そうだよ。
足でもどこでもいいからサクッとやっちまえよ」
「土屋!やめろ!!」
秋人君とこの男の声が部屋に響く
つっちーさんは呼吸がどんどん荒くなっていた
そして、僕の前に来てナイフを振り上げた
「っ!」
刺される!?
「・・・・・・・」
「・・・・・・??」
ぎゅっと目を閉じた時だった
「・・・すみません・・・」
カシャンというナイフが落ちる音が聞こえた
あれ・・・僕、刺されてない?
「つ、ち・・・さん・・・」
目を開けると、つっちーさんは
自分の右手首を握りしめ、地面に膝を着いていた
「ダチにそんな事!出来ねえっスよ!」
・・・っ・・・ダチ
その言葉が胸に響いて目の奥が熱くなった
「・・・・・・はぁ」
叫んだつっちーさんを見て
氷崎という男はため息をついた
「腰抜けが」
「!?」
つっちーさんに向かってそう吐き捨て
僕から手を離して落ちていたナイフを拾い上げた
そしてまた僕の方へ近付いて来る
「ひっ、あぁ・・・」
ナイフの先が僕の体へ真っ直ぐと向けられて
体が硬直して動けない
「忍ちん!!」
つっちーさんはこっちに掛けて来ようとしたけど
すぐに周りの不良に押さえつけられ
また動けなくなっていた
「や、やめてくださ・・・」
「お前の為でもあるんだよ、真面目君よぉ。」
ビクビクと怯える僕を見て
この男はにやりと笑った
「ひっあ、・・・い、嫌だっ」
こいつは普通じゃない
「一瞬だって。な?」
「っ!!」
男がそう呟いた瞬間
ザクっと肌にナイフが突き刺さる音が聞こえ
僕の視界が真っ暗になった
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