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助け
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「ぅぐっ!」
電話が終わると、氷崎という男は
僕の顔を覗き込んできて
そしてそのまま平手打ちをされた
左頬がジンジンと痛み頭の中が揺れる
「誰がペラペラお喋りしろつったよ?」
口の中に血の味が広がる
「・・・っ・・・グズ・・・ぅ」
殴られるのはこれで二回目だけど
文化祭の時の不良達が可愛く思えてくる
この男は本当に容赦が無い
「止血・・・しなくちゃ」
「・・・・」
「なっ!?」
秋人君の真横に立つこの男は
僕がまた傷口へと手を伸ばそうとした瞬間
秋人君の背中を足で踏みつけ始めた
「やめて下さい!!」
「あ?」
「秋人君!」
咄嗟に踏みつけている男の足にしがみついた
秋人君は一度ゴホッと咳き込んでしまい
口から少量の血が床へと流れた
「足を退けて下さい!血がっ」
「ギャンギャンうるさいんだよ」
「ひっ、・・・っぐぁ・・・」
また髪を掴まれ上に持ち上げられそうになる
でも絶対この男の足から手は離さなかった
痛いし怖い だけど力の限り僕は抵抗した
秋人君に近付いてほしくない
これ以上傷付けてほしくない
「は、離して・・・くださ」
「しつけぇなぁ。これ以上グダグダ喋るんなら
お前もこいつみたいにするぞ」
そう言ってまたグッと秋人君を踏みつけた
「なんだよ。何か言いたそうだな」
「・・・くっ・・ぅ」
力として発揮出来ない怒りが
涙になって溢れてくる
僕は何も出来ない
守る事なんて出来やしない
「・・・・・ろよ」
「は?」
だけど側に居ることくらい出来る
このまま何もせずに秋人君だけ苦しめられるくらいなら
大切な人を目の前で痛めつけられるくらいなら・・・
「や・・・や、って・・・みろ、よ」
秋人君と一緒に死んだ方がマシだ
「・・・へぇ」
「っ!!ぐあぁああっ」
僕がそう言った瞬間、この男はニヤリと笑い
秋人君から足を退けて僕の首に手を掛けてきた
首を掴まれ動脈を締められる
喉が狭まり呼吸が出来ない
「っ・・・ぁ・・・」
口から唾液が零れ落ち
苦しさから逃れようと足をバタつかせ抵抗する
だけどそんな力もすぐに出なくなってしまう
「あき・・・ひと、・・・く」
少しずつ視界が霞んで行く中で
僕は必死に秋人君に手を伸ばした
「っ・・・ぅ・・・ぁ」
助けたい
秋人君には死んでほしくない
「ぁ・・・き・・・ひと、くん」
意識が遠のいて行きそうになった時だった
「大崎!!!!」
部屋の入り口から渋谷君の声が聞こえた
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