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出来るわけないだろ
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メールを見てすぐに向かった場所は
白い鉄柱の上に取り付けられた
大きな時計が目印の公園
あいつと前に一度、学校帰りに来た事のある場所
「よう。」
「・・・・」
公園の敷地内に入ると、
ベンチに座る男が声を掛けてくる
もしやと思ってすぐに駆けつけて来たが
俺を見上げるその目はやっぱり
「今日はよくもあんな事してくれたな」
「・・・・」
俺の知る新じゃなかった
「いつから待ってた?」
「は?」
メールは新からだった
すぐにここに来いと、そう書かれていたから
やっぱり俺に対する悪ふざけだったんだと思った。
今日はびっくりしたか?って
俺をからかって笑うこいつの顔を思い浮かべながら
ここまで走って来た
「新、いつからここに居た?」
「・・・気安く俺の名前を呼ぶな」
「・・・・」
新は本当に俺が分からないんだと
思うよりも先に、俺は新の顔や耳、手を見てそう聞いた
目が合ったまま暫く黙っていたら
新はため息をついて口を開いた
「俺もさっき来たんだよ」
「・・・」
嘘だとすぐに分かった
鼻先も耳も手も真っ赤じゃねえかよ
「つか、何で呼び出したか分かるよな?」
「・・・・」
今日の事はお前をからかう為だ。
って・・・それを言う為・・・だろ?
「なんで?」
そう思いたい。言いたかったけど
言えなかった
「はっ、男に手ぇ出されて
このままにしとくわけねえだろ。」
「・・・」
「殴らせろ」
「・・・・・」
・・・・・殴らせろか。
「殴らせるとでも思ってんの?」
昨日までのお前なら
抱き締めろ。って言ってるのにな
「ならタイマンだ。俺と喧嘩しろ。
俺が勝ったら二度と俺の前に現れるな」
新はそう言うとベンチから立ち上がった
指を鳴らしながら俺に近付いて来る
タイマン、喧嘩・・・
なんでお前としなくちゃならないんだよ
「構えろ」
「・・・・・」
バキバキと指を鳴らし俺を睨み付けて来る
けど俺は動こうとしなかった
好きな奴と喧嘩で殴り合いなんて
出来るわけないだろ
「おい眼鏡。」
「!」
じっと新の顔を見ていたら
新はニヤリと笑って俺の事を呼んだ
眼鏡・・・呼ばれて反応するとか
どんだけ慣れてんだよ俺は・・・
「構えろつってんだろくそ眼鏡が」
「・・・・」
なんだろうな。呼ばれても別に良いと思ってたけど
今の新(こいつ)に呼ばれると無性に腹が立つ
「お前とこんな事したくない」
「は?」
腹が立つけど、お前は俺の好きな奴なんだよ
「殴りたいなら殴れ。」
どんなお前でも俺は好きなんだよ
「・・・・・」
「・・・・」
お前を殴るなんて出来ない
殴りたいなら殴ればいい
「俺を舐めてんのか?」
「・・・・」
なんでこんな事になっちまったんだろうな・・・
「っ!」
重い新の拳が左頬に飛ばされ
その衝撃で少し体がフラっとした
加減の無い本気の拳
「おら、やり返して来いよ」
「・・・・」
ぐいっと口元を拭って
体の力を抜いたまま新を見つめた
「新・・・」
「・・・・・」
名前を呼んだ瞬間
今度は俺の腹に思いっきり蹴りを入れてくる
「・・・新・・・・・・新」
「くっ・・・そが」
名前を呼ぶとまた新は俺に殴りかかって来る
力では俺が上だと思ってたけど
今の新の蹴りやパンチは本当に重く
出会った頃とまるで違った
「・・・っ・・・ケホッ」
これがお前の本気なんだな・・・
「俺を殴れ。やり返して来いよくそ眼鏡」
「・・・・・」
地面に膝を着いた俺を見下ろす新を見上げると
ふっと笑みが零れた
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