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大好きだから
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もう一緒に居れなくても
今日だけは最後まで一緒に居たかった
今の俺にはこれしか口実が無かった
忘れたふりをしたままお前と会う為には
こうするしかなかったんだ・・・
好きな奴を殴るなんてしたくない
けど、俺がお前の事なんて本当に知らない。
本当に忘れてしまった。と
眼鏡に証明しなくちゃいけない
手加減なんてしなかった
今日、初めて俺は眼鏡を本気で殴った
「はぁ・・っはぁ・・・」
「ケホッ・・・っ・・あら、た」
「くっ・・」
早く殴り返してほしいのに
眼鏡は俺の名前ばかり呼んで来る
一方的に俺が殴る形となっていて
眼鏡は一度も俺から視線を外さず
ずっと名前を呼んでくる
胸が痛くて本当に張り裂けそうだった
拳がどんどん赤くなって息が上がる
お互いが吐く白い息だけが空気中で溶け合って行く
立ち上がった眼鏡にまた殴りかかると
眼鏡の口から地面へと血が飛んだ
口元を拭ってまた眼鏡は立ち上がる
俺を見るこいつの顔を見たら
目の奥が熱くなって涙が出そうになった
「やり返せよ!くそ眼鏡!」
眼鏡の胸倉を掴んで大きく叫ぶと
またこいつは何もしないで
視線を俺へと落としてくる
「・・・・っくそが」
「・・・・」
本当は、お前の家で一緒にまた飯食って
そのあと誕生日ケーキを二人で囲って
あのプレゼントを渡して・・・
ちゃんとおめでとうって言ってやりたかった
「っ!」
「俺を殴れよ!」
お前とずっと一緒に居たかった
「・・・・殴れよ・・・」
「・・・」
来年も再来年もそのまた次の年も
お前の誕生日は絶対俺が一番に祝ってやろうって
本当はそう思ってるのに
「新・・・」
「っ、・・・」
ずっとずっと、ずっとずっとずっと・・・
お前に俺の名前を呼んでてほしいのに
「俺の名を・・・気安く・・呼ぶな」
俺だってお前の名前を呼びたい
大好きだって言いたい
本当は離れたくなんかない
「お前・・・うぜぇ」
「・・・・」
でも離れなくちゃいけない
自分勝手だけど今はこれしか選択出来ない
二人の中が思い出で溢れる前に
今ならまだ傷は浅く済む
眼鏡はモテるし、最低で腹黒でくそ意地悪な奴だけど
本当は優しくて根は良い奴だし・・・
きっとすぐ他に好きな奴が見つかる。
相手は女かもしれねえし
また俺みたいに男かもしれねえ
けどそいつは俺よりお前を幸せに出来るはずだ。
こうやってお前の誕生日の日に
殴るなんて事もしない。
一緒に居て危ない目に合う事もない
「もういい・・・飽きた」
「・・・・」
傷付けて辛い思いをさせる事も無くなる
会長とだって俺が居なければ
お前と会長はこれからもダチでいれる
俺の事で二人の関係が悪くなる事も無くなる
会長もこれ以上傷付かなくていい・・・
俺は本当に周りを傷付けてばっかりだった
同じ状況になって初めて相手の気持ちが分かる
眼鏡が俺に向かって飽きたと言った時
きっとこんな気持ちだったんだ
「お前やり返して来ねえし・・・つまらねえ」
会長が俺に向かって嫌いになってと言った時
きっとこんな気持ちだったんだ
「二度と俺の前に現れるな」
「・・・・」
大事な奴をこれ以上傷付けないように
自分が傷付けてしまわないように・・・
二人はこんな辛くて苦しい思いしてたんだ
なのに俺は平然としてて・・・
自分の事しか頭に無くて
氷崎が言ってた通りだったんだ
平和ボケしてたせいで・・・
そのせいで秋人や大崎達があんな目にあってしまった
俺と居ても、誰も幸せになんてなれない
幸せに出来ない
「おい、くそ眼鏡」
「・・・」
好きだ・・・誰よりもお前が大好きだ。
だから、もうお前と一緒に居れない
「じゃあな」
「・・・・」
散々殴って、そう吐き捨て
俺は眼鏡に背中を向けた
これでお前とはさよならだって
そう思った時
「ふっ・・・」
「!?」
眼鏡が笑う声が聞こえて
そのあとすぐに・・・
「新」
「なっ・・・」
後ろから眼鏡に抱き締められた
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