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真実と衝撃
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新がフリをしてると気付いたのは
殴られ始め最初に地面に膝を着いてしまった時・・・
俺を見下ろすあいつの顔は
泣いてはなかったけど泣いてた
だけどその時点では本当にフリだと断定出来なかった
病院で会った時の新は本当に別人のようだったし
記憶が戻ってからもフリを続け
俺を本気で殴るなんて・・・
こんな事をしてまで俺から離れようとする理由
一体何だったんだ?・・・
「新、頭もうちょっと上げて」
「・・・・」
「濡らすぞ」
「・・・・・うん」
あのまま新を連れて俺の家に帰り
とりあえずお互い体が冷え切っていたから
二人で風呂に入ってる
向かい合わせになって
新の髪を洗ってるんだけど
新はあれからずっと下を向いたまま黙っている
「力、強くない?」
「・・・・・うん」
髪を洗いながら、力加減の具合を聞くと
小声で返事をするくらいだった
俺に対しての返事が“うん”だなんて
相当落ち込んでるな・・・
「眼鏡・・・」
「ん?」
「・・・・ごめん・・・なさい」
「・・・・・・」
あの新が・・・ごめんなさい。なんて
「謝るな。お前は何も悪くねえよ」
そんな辛そうな声で言うなよ
「・・・・・」
「・・・」
こいつは何も悪くない
悪くないのに一番自分が悪いと思い込んでる
一人で悩みを抱え込んだり
自分を限界にまで追い込んだりする・・・
そういう所は樹と少し似ている
「流すな?」
「・・・うん」
泡を綺麗に洗い流し
今度は二人で湯船に浸かる
元気の無い新の背中・・・
なんだかいつもより小さく感じた
本当は聞きたい事は沢山あるけど
今は何も聞かない方がいいのかもしれない
けど、俺はちゃんとお前の事が知りたい
もう辛い思いはさせたくない
「ゆっくりでいいから、話せるとこから話して?」
「・・・・・」
「何があった?」
「・・・・」
後ろから新の腹に手を回して
優しく抱き締めてそう聞くと
新も俺の腕をキュッと掴んで小さく呟いた
「一昨日の夜・・・氷崎に会った」
「氷崎・・・」
その名を聞いた瞬間
体中がざわざわとした
氷崎恭弥・・・新を犯した男
「氷崎・・・と会って?」
あの時の怒りが込み上げてくるが
ぐっと抑えて話を聞いた
「・・あいつ・・・秋人を刺したんだ」
・・・秋人・・・前に一度聞いた事がある名前
あの病室で寝てたのがその秋人って奴か・・・
「俺の周りの奴を・・・秋人みたいに襲うって言われた」
「・・・・」
「秋人・・血、いっぱい出てて・・・
全然動かなくて・・・」
「・・・新」
「俺・・・お前がそうなったら・・
どうしようって・・急に怖く、なって・・」
「大丈夫だから落ち着け」
「ぅ・・・っごめ・・・ん・・」
頭を優しくポンポンと軽く叩くと
新はまた泣き出してしまった
「ズッ・・・皆と関わらなければ良かったって
そう思ったら・・・頭の中真っ白に、なって・・」
「じゃあ、最初は本当に俺の事忘れてたのか?」
「ゔ、ぐっ・・・ごめ・・・ごめんなさい・・・ぅ」
「・・・・」
追い詰められてたんだな
「だから謝んな。・・・
忘れてたけど思い出してくれただろ?」
「っで、も・・・殴った・・・忘れたフリして、た・・」
「それでもちゃんと戻って来てくれただろ?
・・・それだけで俺はいいんだよ」
「ふ・・ぅ・・・っ・・グズ・・ごめ、ん」
泣きながらまた新は謝って来た
暫く頭を撫で続けると次第に落ち着いては来たけど
こんなに弱ったこいつは見たことが無い
「・・・めがね・・・」
「ん?」
「俺・・・嘘・・付いた」
「嘘?」
「・・・・・会長と喧嘩、してない」
樹?・・・喧嘩はしてない?
何で樹が今出てくるんだ?
不思議に思っていると
新は俺の腕をぎゅっと強く掴んで来た
「俺・・・会長に・・・」
「・・・」
「犯・・・された」
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