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真っ黒な朝ごはん
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眼鏡は優しく俺を抱いてくれた
怖くてたまらなかったのに
抱き締められると体の芯から気持ちが和らいで
幸せな気持ちに戻れた
今日は眼鏡がすげえ大人っぽく見えて
眼鏡に言われた事でいっぱい泣いてしまった
嬉しかったけどちょっと悔しかった
意地悪な時も優しい時も
どっちの眼鏡にも結局俺は泣かされてしまう・・・
「・・・・ッ」
そして今も、さっきこいつが言った言葉で
俺は泣きそうになってる
『幸せにしてやる』
その言葉の前には『一緒に暮らそう』
「・・・・ぃ」
一緒に暮らそう??・・・
それはつまりけけけけ結婚しようって事なのか?
もしかして俺はプロポーズされたのか!?
「プロ・・プロ・・・」
「ん?」
やばいっ、頭ん中爆発するっ
「プロテイン」
「え?」
「〜〜ッ!」
くそっ、何がプロテインだよ!
プロポーズかそれは?って聞いてやるつもりがぁっ
「プロテイン飲んで・・・体作る」
「体作る?なんで急に?」
誤魔化すしかねえけど
話がどんどんずれて行く・・・
「なんでもいいだろっ!つかいい加減離せよ!」
「・・・??」
必死に誤魔化した恥ずかしさと
プロポーズらしき言葉を聞いた嬉しさで
心臓が壊れそうなくらい跳ねる
「??・・・ま、飯食べるか」
「ぅおうおおうっ」
眼鏡に背中を向けて、返事をしたが
喉が震えて変な返事になってしまった
ちゃ、ちゃんと聞けなかったけど
まぁプロポーズとしてとっておいてやる。
はんっ、お前にしては中々いいプロポーズだったぜ。
「ん?」
ふんっと胸を張っていたら
炊飯器がぱかっと開く音がした
それと同時に、俺はビクッとしてしまった
そして背中から黒いオーラを感じる
振り向きたくねぇ・・・(汗)
「新君、これは何かな?」
「・・・・・」
何故か俺を君付けで呼ぶ眼鏡の怒った声が聞こえた
「え・・・あ・・」
そしてだな、話がプロポーズ前に戻るが
まぁ目が覚めたら気分が良かったから
こいつに朝飯でも作ってやろうと思った。
料理なんてろくにしたことも無かったけど
目玉焼きなら、なんとかなると思ったんだ。
だが目玉焼きは大失敗した。
「し、白飯です」
そして目玉焼きと一緒に食べようと
俺は米を炊いた
「白飯?黒飯の間違いだろ」
「・・・・」
炊飯器の中を覗き込み、眼鏡が目を細めて俺を見てくる
眼鏡が言った通りどういうわけか
俺が炊いた米は白飯ではなく黒飯になってしまった。
「すげえ才能だな」
「馬鹿にしてんのかよ」
「褒めてんだよ」
「・・・・・」
真っ黒な米を眼鏡はお茶碗によそい始めた
いや、まさか食べるつもりじゃないだろうな?
「お、おいっ!そんなもん食えねぇだろ!」
「なんで?『黒飯』でも米は米だろ」
黒飯強調すんなよ!
米は米でもそれはもう炭の域だろ!
「まぁ、見た目より味だろ」
「はっ?」
眼鏡は黒飯をそよったお茶碗と
俺が焼いた真っ黒な目玉焼きが乗った皿を
自分の前に並べ箸を持ち
『いただきます』と手を合わせた
「駄目だ!食べるな!」
箸を付けようとした眼鏡から
俺はすかさずお茶碗と皿を奪い取った
「返せよ。俺腹減ってんだけど」
「こんなもん食ったら腹壊すだろ!」
「は?壊さねえよ」
「駄目だっ!もっかいちゃんと作るから!」
「いいけど。また黒い食べ物が増えるな」
「ゔ・・・」
眼鏡が言った言葉が胸に刺さった(泣)
確かにまた俺が作れば黒い物が出来上がるだけだ
まさかこんなに自分が料理出来ねえなんて思いもしなかった
「つか、目玉焼きは分かるけど。米に何入れたんだよ。
普通ここまで黒くならないぞ」
机に肘をついた眼鏡は
少しだけため息をついてそう言った
何を入れたって・・・それは・・・
「塩と・・・黒胡椒入れた」
「・・・・・・」
「・・・・・」
俺がそう言うと、眼鏡はフリーズした
目が何でそんな物を入れた?と言ってる
「だ、だって・・・っ」
秋人が料理は味付けが一番肝心だって言ってたんだ
こいつの家の無駄に高い場所にある調味料棚にあった
唯一俺の手が届いたもの
それが塩と黒胡椒だった
「い、いっぱい入れたら・・・美味くなると思って」
「・・・」
調味料とか使った事無かったけど
塩、胡椒くらいは知ってる
秋人がいつも料理に入れてたから
同じように俺もそうしたんだ
でもやっぱ入れ過ぎたのか?
「くくっ・・・」
「??」
下を向いていたら眼鏡が笑う声が聞こえた
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