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貸した服
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ラ◯ュタの真似事をやり終えると
結局朝ごはんはただの食パンに戻った
あんなにはしゃいでいたあいつも
食パンだけ乗った皿を見ると
ジ◯リの世界から現実に戻って来たのか
物凄い真顔になった
食パンはマーガリンとイチゴジャムで食べ、
ご馳走様。と2人して手を合わせた時には
時計の針は9時を指していた
朝ごはんを食べ終えると、
俺は新が散らかした台所をせっせと掃除した
この黒い食べ物はどうするべきなんだろうか。
黒飯はまだなんとか食べれるとして、
真っ黒に焦げた目玉焼きは
苦い物が食べれない俺にはもはや毒の域だ。
けどあいつがせっかく作ってくれたんだし
捨てる事は出来ない。
他に使い道が見つかるだろうと思い
俺は真っ黒い目玉焼きと黒飯を別の容器に移し
ラップを掛けて冷蔵庫にしまった
「眼鏡・・・」
「ん?」
冷蔵庫を閉じると、背中から新が声を掛けてきた
「あのさ」
「?」
「服・・・借りていいか?」
「服?」
俺が聞き直すと小さくコクっと頷いた
服か。そう言えば新は昨日の服のままだった
「出掛けたいのか?」
別に今日一日くらいそのままでも大丈夫だと思ったけど
新はチラチラと玄関の方を見ていたから
多分どこかに行きたいんだろうと思った
「秋人の見舞いに・・・」
そして小さい声でそう言うと
新は申し訳なさそうな顔をした
「新」
「・・・・」
そっと近付いて新を抱き締める
すると顔を俺の胸に押し付けてきた
「さっきまでの元気はどうしたんだよ」
元気が無くなった新の髪にキスをしそう聞いた
「・・・・俺、大崎に嘘ついたままだ」
「大崎?」
「・・・ちゃんと謝りたい」
・・・確かに、あの時は大崎も居たな
昨日、病院に駆けつけると大崎の目の前で
新にお前なんか知らねえと言われ殴られた
大崎は酷く驚いた顔をしてて
俺は新をトイレに連れ込んだ後病院を出たから
結局大崎の所へ戻れなかった
「大崎なら大丈夫だよ」
「ぅわっ!」
しょんぼりする新の頭をグリグリと強く撫でてやった
「病院行くんだろ。服見てくるから待ってろ」
「・・・・おう」
「俺もその病院に用があるし」
「え?」
「まぁとにかく待ってろ」
「・・・??」
不思議そうに俺を見ながら
椅子に腰を掛けた新を見て、
俺は部屋に戻り新に合うサイズの服を探し始めた
けど新に合う服はねえよな
俺の服は新にはデカイだろうし
ズボンは昨日と同じ物で我慢してもらって
ジャケットはまぁ俺のでもいけるだろ
インナーは俺が中学の時の服でも・・・
つか、中学の時の服とか残ってたっけ?
「ん?」
クローゼットの中を見渡していたら
奥にあったある服に目がいった
「・・・・・」
手に取り暫く眺めた後
その服を持って新の元へ戻った
着替えて来てと新に言うと
すぐに渡した服を着て新は戻ってきた
「なんか袖がちょっと短い」
「そうか?ピッタリだと思うけど」
「・・・・・」
「ほら、行くぞ」
渡した服に少し不満を感じてる様な顔をした新に
ジャケットを着させ、俺達は家を出た
貸してやった服は2年前の春頃に俺が着てた
七分袖のリネンシャツ
あの頃から俺は結構身長も伸びたし
着れなくなったからクローゼットの奥に仕舞っておいた物だ
新は袖がちょっと短いとか言ってるけど
手首が見えるくらいでサイズはピッタリだった
あいつが着ると七分袖だなんて分かんねえな
「変じゃない?」
「変じゃねえよ」
やたらと服装を気にする新に
貸してやった服が七分袖だなんて今更言えない
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