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待ち合い室で
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「はぁ・・・」
長く深いため息が出た
飲み物を買って来ると言って病室を出たまま、
オレは待ち合い室に逃げ込んでしまった。
一昨日から、忍ちんと秋人さんの事が頭から離れなかった。
もちろんカワちゃんの事だってすげえ心配した
けどカワちゃんは1日検査入院をして
検査の結果、外傷以外は問題無いと言われたから
何とか一安心することが出来た
「・・・・・」
そして今朝、自分達が運ばれた病院を出て
秋人さんの所に来た
手術は成功したって聞いたから
ここに来れば秋人さんと話が出来ると思った
でも秋人さんはまだ目を覚ましてない
オレの声が聞こえたら
どんなに眠くたっていつもなら飛び起きるのに・・・
眠る秋人さんに話し掛けたら
『病院だぞ静かにしろ。』って怒鳴って来ると思ったけど
秋人さんは全然起きなかった
「・・・秋人さん」
オレ、あんたに謝らねえといけないっス・・・
秋人さんの大切な人に
オレは一瞬でも刃物を向けてしまった
いくら恋人が人質にされていたとしても
ダチに刃物を向けるなんて・・・
あの時のオレを見る忍ちんの顔が忘れられない
それに氷崎がナイフを拾い上げる前に
オレがそれを阻止していれば秋人さんは刺されなくて済んだ
いや、そもそもオレが忍ちんを連れて行かなければ
カワちゃんの側を離れなければこんな事には・・・
「・・・・っ・・」
結局オレだけが軽傷で済んで
大事な人達は酷い目に合った
助け出してくれたのは新さんで
結局オレは何も出来なかった・・・
酷い目に合わせたのに
これからも今まで通りよろしくなんて言えない
忍ちんとはもう・・・
そう考えるとまた気分が沈んだ
「流石にもう戻らないと、カワちゃん達心配するっスよね」
長い間待ち合い室に居たから
そろそろ病室に戻ろうと重い腰を上げた時だった
「つっちぃいいいいいいい!」
「!?」
馬鹿でかい声で名前を呼ばれ
視線を声のする方へやると
「つーーかーーまーーえーーたぁあああ!!」
「し、忍ちんっ!?」
忍ちんが両手を広げ物凄い顔で
オレに飛び掛かろうとしていた
「わあっ!」
「げっ!?」
だが、オレの胸に飛び込もうとしたその瞬間
忍ちんはつまづき、転びそうになった所を
オレがすかさず抱き留めた
ゴチンっと言う鈍い音が聞こえた
「いっ、つぁ・・・」
「いたたた・・・」
後ろに倒れてしまい、オレは少し後頭部を打ってしまった
「忍ちん、大丈夫っスか?」
「あっ、う、うん・・・」
「そっスか」
忍ちんはオレの胸に鼻を思い切りぶつけたらしく
鼻先が少し赤くなっていた
でも大丈夫なら良かった・・・
「病院は走っちゃダメなんスよ?あと大声もダメっス」
「あ・・・そうだよね・・・」
オレの言った言葉に忍ちんはさっきの自分を思い出したのか
顔が真っ赤に染まっていった
なんだろうな・・・
忍ちんって少しカワちゃんと似てるんスよね
少し危なっかしいと言うか
ほっとけないと言うか・・・
「あっ!あのですね!」
「??」
ふと、そんな事を考えながら起き上がろうとした時
忍ちんはオレの胸倉を掴んで顔をスレスレまで近づけて来た
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