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おはよう
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また声が聞けるなら
僕も秋人君と同じ目線に立って話がしたい
今まで警戒して、遠ざけて拒んで
僕を好いてくれてた君を平気で裏切ったりした
沢山酷いことをしたのに・・・言ったのに
体を張って僕を守ってくれて、僕をずっと信じてくれた
だから今度は僕が守ってあげたい。信じてあげたい
秋人君が僕にしてくれた事を
僕に向けてくれた気持ちを同じように返してあげたい
秋人君が倒れてから、ずっと思っていた事だった
気持ちに気付くのに時間が掛かってしまったけど
秋人君が目を覚ましたら
絶対にちゃんと伝えようって思ってた事だった
「・・・へ・・」
腕を引かれ、秋人君の上に倒れ込む形になった
そして、そのままゆっくりと背中に手を回された。
弱い力だったけど確かに抱き締められてる
じんわりと暖かい体温が伝わってくる
「・・・しの、ぶ・・」
「・・・・」
・・・優しい声が耳に入る
ゆっくり顔を上げると、秋人君が薄っすらと目を開けて笑ってる
「・・・ぁ・・きひと、くん・・・」
「俺・・随分寝てたんだな・・・」
「・・・・・」
にこっと笑って僕を見つめてくる
声を聞いた瞬間、名前を呼ばれた瞬間
もう何年もその声を聞いてなかったように思えて
「おはよう・・・」
やっとその声が聞けたって思えて・・・
ずっと我慢してた涙が溢れてくる
「ゔ・・・っ・・おは、よゔっ・・・」
秋人君の前ではもう泣かないって決めてたのに・・・
「あれ・・・もう泣き虫じゃ・・ないんだろ?・・・」
「・・ズッ・・・っう・・・ゔん・・」
ゆっくりと頭に手が置かれて優しく撫でられる
「・・ほら・・・泣くなって・・・」
「ふっゔ・・・うぅっ・・・」
まだ小さくて弱々しい声だけど、優しい秋人君の声だ
「あき、ひとくん・・・っ、秋人君・・・」
「ん・・・」
名前を呼ぶと笑って返事をしてくれる
それだけで嬉しくて安心出来てまた涙が溢れる
「怪我・・・してないか?」
「っ・・だいじょうぶ・・だよ」
「そっか・・良かった」
「うぅ、ヒック・・・ゔ・・」
秋人君の方が重傷なのに
起きるなり僕の心配をしてくれて
「髪・・やっぱ似合ってる」
「ズッ・・・あ、りがと・・・」
いつもの様に笑い掛けてくれる
それが何よりも嬉しくて 嬉しくて
今までの不安や恐怖が一瞬にして消えていった
背中に回った手と、頭を撫でてくれる手が
こんなにも心地よくて暖かいなんて思わなかった
「秋、人君・・・」
「・・・ん?」
秋人君の服を掴んで、僕も体を擦り寄せた
「僕・・ね・・・ずっと言いたかった事が、あるんだ」
「・・・なに?」
ちゃんと伝える
好きだよって・・・ちゃんと
「あの・・ヒック、・・ね」
「・・・・」
「僕・・グズっ・・・ぅ、・・っ」
すぐにでも言いたいのに
涙が止まらなくて嗚咽が零れる
「待っで・・なみだがっ、どまらないよぉっ」
「ははっ、すっげぇ顔・・・」
「っ、ふぇ・・ぅ、ズッ・・・だって、っ・・・」
目を覚ましてくれたのが嬉し過ぎて
本当に涙が止まらない
ボタボタと涙が秋人君の上に落ちて
泣き続ける僕を見て秋人君はまた笑った
「忍」
「・・・ぅっ、・・・・へ?」
すると、大きな手が頬に添えられ
秋人君は顔を近付けて来た
「!?」
「・・・・」
チュっと言う綺麗な音が聞こえ
唇に・・・・柔らかい感触・・・
「・・・・ぇ・・ぁ」
重なった唇が離れ、びっくりして固まる僕を見て
秋人君がにこっと笑った
「涙・・・止まったな」
「〜〜〜ッ!!」
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