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今度こそ
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シャリ……シャリ…シャリ……
「…………」
「………………」
シャリ……シャリ…
忍です。僕は今りんごを剥いてます。
カワちゃんとつっちーとコンビニに行った後、二人とバイバイしてから秋人君の病室に戻りました。
秋人君は起きてて僕を見るなり声を掛けてくれた……
今度こそ本当に起きてくれたと思って、飛び付いてしまいそうになったけど、僕が秋人君に最初に掛けた言葉は『りんご食べる?』だった。
秋人君は食べる!って言ってくれて………
シャリ………シャリ………
「………」
「……………」
かれこれ一時間。僕はりんごの皮を剥いてる。
だけど未だに一個も剥き終えていない。
シャリ、シャリ、というあたかも皮を剥いてるような音が聞こえるけど、りんごの皮は剥ける気配すらない。
渋谷君達はりんごを丸かじりしてたからその時切る事は無かったけど………
シャリ………
「………」
「……………」
全然剥けないし……さっきから僕がりんごに集中してるから秋人君とろくに会話も出来ていない。
沈黙が続いて、りんごを剥くことすら出来ない自分が情けなくなってきた。
「ごめんね……」
「ん?」
一時間も待たされているのに、文句の一つも言わない秋人君に向かってそう言った。
「りんごも人参も切れないなんて……」
「………」
人参よりりんごを切るのは簡単なはずなのに……
こんな事になるならカットフルーツでも買ってくれば良かった。
「忍」
「…⁉︎」
ため息が出た時、秋人君が僕の方に手を伸ばした
「貸してみな?俺がやってやるよ」
「え……でも……」
僕がやりますって言おうとしたけど、傷一つ付いていないりんごを見ると、もう秋人君に任せるしかないと思った。
「お、お願いします……」
「ん。」
果物ナイフとりんごを渡すと、秋人君は慣れた手つきでりんごを剥き始めた。
秋人君がりんごを器用に回しながら皮を剥くと、皮が一本の紐みたいになっていく
「す、凄いねっ、全然途切れてない!」
綺麗にりんごが剥かれるところを初めて見たから、つい興奮してしまった
「へへ〜ん、すげえだろ?もっとすげえの見せてやるから待ってな」
「もっとすげえの?」
「おう!ちょっとだけ目閉じててくれ」
「??」
にまにまと笑う秋人君にそう言われて、僕はそっと目を閉じた
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