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打ち解け笑い合える
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目を閉じると、小さい音だけどりんごを切る音が聞こえてくる。
サクッ、サクッ…って綺麗な音。まな板も無いのに一体どうやって切ってるんだろうって思っていたら
秋人君が、もういいぞ。って言ってくれた。
ゆっくりと目を開けるとまた僕のテンションが上がった
「どうだ?すげえだろ?」
「す、すごいっ‼︎」
紙皿の上に並んでいるのは色んな模様が付いたりんご……
皮を器用に残して彫られているのは水玉、ストライプにボーダー柄。
おまけに目と尻尾が付いた本格的なうさぎさんりんごもある
「どうやってやったの?どこで習ったの?」
「秘密〜♪一応小夏達の弁当毎朝作ってんだ。このりんご入れてやったら小夏達大喜びでさ。これは俺のオリジナルのりんごの剥き方なんだ♪」
「そうなの?……」
ほぇ〜と感心しながら柄の付いたりんごをまじまじと見ていると、秋人君は嬉しそうに笑った
ほんとにすごい……こっそり目を開けて覗いていればよかった……こんなに可愛くて綺麗なりんごは初めて見る……
「すごいな……秋人君は……」
「ん?」
「……僕が出来ない事簡単にこなしちゃうんだもん……」
りんごなんて誰でも剥けるけど、秋人君が普通の事をしたら大袈裟に凄いって思っちゃうな…
もしかしたら秋人君が出来ない事って無いのかもしれない
「ふふっ……食べるのもったいないね」
「そうか?こんなのパクっとさ……」
「あっ‼︎うさぎさん‼︎」
大事に食べよう?って言おうとしたら、秋人君は豪快にうさぎさんりんごにかぶりついた
「う……うさぎさんが……」
「わ、わりぃ……うさぎが食べたかったか?」
「あ…え、と………」
「……??」
「……………」
もうちょっとうさぎさんりんごを見てたかったな……なんて子供だって思われるよね
「ひのふ(忍)」
「??」
少ししょんぼりしていたら、秋人君が僕を呼んだ
そして顔を上げて秋人君を見てみると………
「な、何してるの?」
秋人君の口からにょきっと出ているのは、さっきのうさぎさんりんごの耳
「ドラキュラ」
「………………」
「…………………」
「………ぶっ」
真顔でドラキュラなんて言われたからつい吹き出してしまった
「ドラキュラって……ふふっ……子供…」
「んだと!うさぎりんごを食べたら絶対やるだろ!」
「絶対やるの?…ふふっ…そうなんだ…」
少し子供っぽいところも秋人君らしい……
「秋人君……」
「ん?」
りんごを食べる秋人君に声を掛ける。
今なら言えるかもしれない
「あのね……」
「??」
ちゃんと言いたい事、伝えたい事
打ち解け笑い合える今なら言える
「………もっと秋人君の事……知りたい」
「え……」
気持ちを伝えたら、今より秋人君と距離が近くなれる
「ぼ、僕ねっ……」
「………」
「……………僕……は」
「…………」
ちゃんと言う!ちゃんと言うんだ!頑張れ忍!
「ぼ、ぼぼぼくはっ」
だけどいざ言うとなると緊張して目が回る
「忍」
「……っ?」
緊張で目が回って、心臓がバクバクしてきた時
秋人君が僕の手を握ってきた
「外行かね?」
「……へ?……」
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