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知ってほしい
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外に出ようと言われ、秋人君に手を握られたまま二人して病室を出た。腕に繋がれた点滴を引っ張り連れ、秋人君は僕の前を歩いている。だけどさっき目を覚ましたばかりなのに急に歩き回ったりしたら……
「秋人君っ!待って!」
まだ歩き回るのはきっと体に良くないと思って何度も引き止めようとするけど、秋人君は『大丈夫だ』と言ってにこにこ笑い、足を止めようとはしなかった。
「………」
歩きながらそっと繋がれた手を見ると確かに僕の手を秋人君が握ってる。
僕よりもずっと大きな手………なんだか少しドキドキする………
「おっし。」
「うっぷ!」
ぽけ〜っとしながら歩いていると秋人君が急に立ち止まったから、秋人君の背中に顔面を思い切りぶつけてしまった
「いてて……」
少し痛む顔面を擦りながら周りを見渡すと病院の屋上だった
病院の屋上……って入っていいのかな?
ふと心配になって秋人君を見ると、握っていた手を離されて秋人君はにこっと笑う
「やっぱ外の空気はいいな〜」
「あ、秋人君…」
「んー?」
「ぁ………と…」
グ〜っと背伸びをする秋人君になんで屋上なんかに?って聞こうとしたけど、本当に外の空気が吸いたかっただけかもしれないと思い僕は聞くのをやめた
「ちょっとそこに立って」
「え?」
「ほら早く♪」
「??」
いきなり両肩を掴まれて屋上の入り口の前に立たされた。
秋人君に動かないでくれと言われて、不思議に思いながらも僕はその場でじっとしていると、秋人君は僕からどんどん距離を取り始め、やがて入り口から一番遠い場所に立った
「俺もさ!もっと知ってほしい!」
「??」
遠くで僕の方に体を向けたまま、秋人君が大声でそう叫んだ。
そして次に聞こえたのはもっともっと大きな声だった
「菅原秋人ーーーっ!今から自己紹介をしまぁーーーーーすっ!」
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