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自己嫌悪
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「今回の件を他校の生徒、もちろん我が校の生徒にも知られてはいけない。殺傷事件に我が校の生徒が関わっていると知られたら学校の評判が落ちる。関わった人物が生徒会の一人となると尚のこと。この話は内密に処理しよう。お前も他の生徒達にそれ相応の対処をしておいてくれ。」
「………はい」
「話は終わりだ。」
「………」
父さんに呼び出され軽く一時間が経過した。
話された内容は今ニュースで大きく取り上げられている未成年の集団による殺傷事件……その事件に僕の通う高校の生徒が関わっていたという事。そして……この事は他言無用にしてほしいという事……関わっていた生徒は僕のよく知る人物……
テレビで見た時はまさかその事件に新が関わっているとは思わなかった。
殺傷事件……そんな危ない事に何故新が?……
「それと、早急に片付けてほしい書類がある。私の寝室の机の上に書類を置いてあるから後で目を通しておきなさい。」
「………はい」
父さんは椅子から立ち上がりネクタイを締め直している。そしてそのままその他何も言う事無く、父さんは家を出て行ってしまった
僕も立ち上がり父さんの寝室から書類を手に取った後、自分の部屋がある二階へと向かう。
部屋に入ると机に書類を置いて、椅子に腰を掛けずそのままベッドに横になった。
冬休みに入ってもうどれくらい経つだろう……ここ最近ろくに睡眠も取れないし、食事も喉を通らない……休みに入るまでに終わらせなければならなかった書類や資料も結局やり遂げる事が出来なくて、時々学校に登校して作業をしたり、家で夜遅くまで作業をしたり……そんな毎日が続いている
「はぁ………」
ため息を吐くのも何度目だろう……気力ばかりが体から抜けて、少しずつ作業は進んで仕事は終わり始めているのに達成感の一つも湧いてこない
ただ日に日に増していくのは罪悪感と、自分に対しての嫌悪感
「………新」
毎晩、あの日の新の顔が頭に浮かぶ
好きな人の幸せを見守ると自分言い聞かせていたのに、僕は新を傷付け汚してしまった。それは決して許される事ではない……だけど僕にとってあれはけじめであり覚悟だった……
もう二度と新に触れない。近付かない……好きだと告げる事もしない
やり方は本当に最悪で最低だけど……自分勝手だけど……僕はああでもしないときっとこれからも新を好きで居続けてしまう。新に嫌われる何かをしないと僕はまた同じように新を傷付けてしまう。
今回の件だって、本当はすぐにでも新の顔を見に行きたい。無事だとちゃんと目で見て確認したい。でも僕には心配する資格すら無い………
「………はぁ」
また……ため息が出る
息を吐く度、新への思いも抜けて……消えてしまえばいいのに
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