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至福の夢と最悪な夢……
これ程までに残酷な目覚めがあっただろうか……
あのまま、新との幸せな夢を見続けていたかったと思う反面、きっと僕はもっと傷付かなくちゃいけないと思ってしまい……いっその事、新に拒絶され忌み嫌われる夢を見続けてしまった方が良かったとも思ってしまう。
大好きな新の笑顔が歪み、消えていくそんな夢はもう見たくもない。
でも僕自身が望んで招いた結果だ………
これからだってきっと最悪な夢を見続けるだろうけど、それでいいのかもしれない………
「………書類…」
さっき見てしまった夢が頭の中で何度も繰り返される中、いい加減父さんから頼まれた書類を片付けようとゆっくり体を起こした
「ん……」
すると、少し開いた部屋の扉からリリィが中に入って来た
僕の足に擦り寄って喉を鳴らしている
「ふふっ……お腹空いたの?」
真っ白い毛並みと綺麗な青い目を持つリリィを抱き上げ、喉を優しく撫でてあげた
気持ち良さそうに目を閉じて、撫でるのを止めるとまた目を開いて僕を見つめてくる
「お前の目は……新と同じ目の色をしてるね」
澄んだ綺麗な青い瞳……僕を信じて疑わない真っ直ぐな瞳
「……………」
あの瞳に僕が映る日はもう来ないだろう……
僕を呼ぶ事も無くなって、あとは少しずつ新の中から消えていくだけ………
「……待ってて。今ご飯を用意してあげるね」
もう一度リリィの喉を撫で、床に降ろしてあげて僕は一階へと向かった
階段に差し掛かると、視界が一瞬グニャリと揺れた
「……っ」
壁に肩を着けてしまい、その歪みが止まるまで待ったがどうも気分が悪い
最近ちゃんと眠れてなかったから、きっとそのせいだと思って特に気にする事なく階段を降りた
なんだか吐き気もする……リビングにつくと、とりあえず水を一口飲んだ
だが冷たい水が喉を通る感覚はぬめりとしていて、気分が更に悪くなった
「はぁ………」
風邪でも引いてしまったんだろうか
「キャットフードは確か……」
足元がおぼつかないまま、リリィのご飯を皿に移し二階へ戻ろうとした時だった
【〜〜♪〜〜♪】
インターホンが鳴り響き、僕は足を止めた
「………?」
一旦手に持っていた皿を置いて、フラフラと歩き玄関へ向かう
時間は22時を回っている……こんな時間に来るのは誰だろうと玄関の扉をゆっくり開いた
「…⁉︎……」
扉の前に立ち、険しい顔をする人物を見た瞬間、全身に寒気が走った
「こんな時間に悪い」
「…………成海……」
いつもより低い声と、僕を見る冷たい目
「樹、お前に聞きたい事がある」
「…………」
成海がそう言い、全部知られてしまったのかと悟った時、視界がまた大きく歪んだ
「おい……お前顔色悪いぞ」
「……っ……」
なんで成海がここへ来たのか僕にはすぐ分かった
「樹?……」
ちゃんと………僕は罰を受けなくちゃいけない
「おい!樹!」
だけど、意識はだんだん遠のいていく
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