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番外編【甘党見極め計画】
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【チリンチリ~ン♪】
そこでだ。
俺は秋人と会った後、すぐに眼鏡を呼び出した。
場所はそう。オシャンなカフェだ。
レトロな雰囲気を漂わせ店の扉に取り付けられた鈴が、開く度に音を奏でるオシャンなカフェだ。
「話って何?」
「………」
向かい合わせで座って、目の前で眼鏡が肘を付いてこっちをガン見してくる。
話?……はんっ、話なんてねえよ。
今日はお前がどれ程甘党なのか調べる為に呼んだんだ。
「ま、まぁ話はもうちょい後にしてさ……何か飲まねえ?」
「後って……」
「あっ!すみません!注文いいですか?」
不思議そうに首を傾げる眼鏡を軽く無視して、近くを通りかかった店員さんに声を掛けた
「ブラックコーヒー二つお願いします」
「…………」
俺がそう注文すると、眼鏡のオーラが変わった。
来る……‼︎
「あ、いや俺はココア「コーヒー二つ!お願いします!」」
「………」
ココアと訂正しようとした眼鏡の声を掻き消して、再度コーヒー二つ。と注文した。
店員さんはニコニコ笑って「かしこまりました♡」
なんて言って去って行った。
もちろん、目の前の眼鏡は物凄く不機嫌な顔をしてるけど大丈夫だ。
ここまでテンポ良く事は進んでいる。完璧だ。
「何笑ってんの?」
「は?笑ってねぇし」
危ねえ。にやけるとこだった。けどまじでにやにやしちまいそうだ。
ここまで俺の計画通りに事が運び過ぎてある意味気持ちいいぜ。
ここは心の中で笑っておこう。
注文して10分もしない内にコーヒーが二つ来た。
カップの中で黒々と揺れるコーヒーを眼鏡は鋭い目つきで睨んでる。
眼鏡がコーヒー飲めねえ事は百も承知だ。
なんでコーヒーを注文したか?
まぁ待て。ちゃんと説明してやる。
俺の計画はこうだ
ブラックコーヒーには必ずと言っていい程の確率で砂糖とミルク、そしてシロップが付いてくる。
確実に眼鏡はこの三つを入れる。
「…………」
じっと眼鏡の手元を見ていると、俺の予想通り、眼鏡は砂糖、ミルク、シロップをコーヒーの中に入れた。
それだけで何が分かるって?
まぁ待て。ここからなんだ俺の計画は。
両肘を机に付いて、手を顔の前で合わせ眼鏡の行動を伺う。
【ポチャン…】
そして聞こえてくるこの音‼︎
そう‼︎眼鏡は机の端の透明な容器の中に入っていた角砂糖をコーヒーの中に入れ始めた‼︎
ポチャンというのは角砂糖がコーヒーの中に落とされる音だ‼︎
いや普通こんな音はしない‼︎だが今回は大袈裟に音を立てているという事にして皆さんにお聞かせしよう‼︎
「何?」
「あっ、いや……んでもねえ」
「?」
何でもなくはない。けど今は集中してんだ。
角砂糖を入れた回数を数えてんだ俺は‼︎話しかけるな‼︎
お前が何個コーヒーに角砂糖を入れるか。角砂糖の数でお前がどれだけ甘党なのか、それと同時にどれ程苦いのものが駄目なのかが分かる‼︎
はっ、俺やっぱ天才だぜ。
一石二鳥ならぬ一コーヒー二分かりじゃねえか。
【ポチャン…】
また一つ。眼鏡は角砂糖を入れた。
だんだんとコーヒーが甘くなる。
【ポチャン…】
また一つ入れた。
いや十分コーヒーは甘くなったハズだ。
さて、あと何個入れるつもりなんだ?
【ポチャン……ポチャン……ポチャン…】
「……………」
【ポチャン……ポチャン……ポチャン…】
「………ゔっ」
手際よく角砂糖が入れられるコーヒーを見ると急に胸焼けが襲って来た。
そろそろやめるだろ………
【ポチャン……ポチャン…】
まだ入れるのか⁉︎
やめろそれもうコーヒーじゃねえだろ⁉︎
【ポチャン…ポチャン……】
「……………」
………恐ろしい男だ……
【ポチャン…】
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