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番外編【えっちしよ】
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2月14日。今日は世間で言うバレンタイン。
誕生日と同じく、俺はこの日が嫌いだ。
毎年、見た目だけで俺がビター好きとか勝手に決め付けた奴らが、頼んでもねぇのにビターチョコを贈りつけて来る。
実に迷惑だ。
まだ甘いならいい。だけど何故か毎年俺の手元に来るのは決まってビターチョコ。
俺にとってバレンタインは地獄の日だった。
でも今年は違う。
部屋の扉を見つめ、俺の為に必死でチョコを作ってる新を思うと、嬉しい気持ちと少しの不安が生まれる。
「あいつ、火傷とかしてねえよな?……」
目玉焼き一つまともに作れねえのに、チョコなんて作れるのか?
「…………」
ちょっとだけ様子を見に行こうと思い、俺は台所へと向かった
けど、部屋を出た瞬間すぐに異変に気付く。
「……このにおい…」
チョコのにおいはしているが、何だか焦げくさい。
慌てて台所に走って行くと、床にペタンとしゃがみ込む新の姿があった。
火が掛けられた鍋からはモクモクと黒い煙が出ている。
すぐに火を止めてしゃがみ込んだままの新の両肩を掴んだ
「おい!新!」
まさか本当に火傷でもしたのか?
「あら「ヒック……」」
「………?」
数回肩を揺すると、何やらしゃっくりのようなものが聞こえた。
そしてゆっくりと俺を見上げた新は、頬がピンク色に染まっててトロンとした目でふにゃりと笑った
「ん〜……ヒッ、ク…」
「………」待て
「めぎゃね……にゃははっ」
何故酔っている⁉︎
「おいお前……」
その時、新の隣に転がっているお菓子箱に目がいった。
手に取りパッケージを見ると、チョコレートボンボンと書かれている。
「……洋酒入り」
「ヒック……め……ぎゃね…」
「まさか……これ食べて酔ったのか?」
そう聞くと、新は首を傾げた。
そして何やら指でOKサインを作り、ウインクをしてぺろっと舌を出した
「…チョコを……ちょこっとな?☆」
「…………」ズキュンっ‼︎‼︎
「にゃははっ‼︎おれおもしろいぃ〜‼︎」
バタバタと腹を抱えて笑い出す新の隣で、俺は口に手をやり悶えている。
何なんだこの可愛い生き物は……チョコをちょこっとな?だと…?……面白くも何とも無いが今の新は最強に可愛い……‼︎
チョコレートボンボンでここまで新は可愛いくなるのか‼︎いや酒に弱過ぎだろ‼︎
「っ……」駄目だ…抑えろ俺。
今は耐えろ。せめて夜まで耐えろ俺‼︎
「にゃるみぃ……」
「っ⁉︎」
突然新は俺の胸倉を掴んで来た。すわった目がウルウルと揺れ、火照った顔で覗き込まれる。
ツンの『ツ』の字も無い今の新は、俺の顔をじっと見たまま、またふにゃりと笑った
「えっちしよぉ〜?」
⁉︎
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