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お日様よりも
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今日はとても天気が良く、お日様の光が暖かく地表を照らしていてポカポカしてた。
真冬なのにこんなに暖かいのは珍しいね。って秋人君と話していたら、『じゃ、散歩にでも行くか』と言われて、僕は今秋人君と病院の外に来ています。
「ん〜!外最高!」
外に出てから、秋人君はそればかり言ってる。
散歩といっても病院の敷地内だけど、秋人君はとても嬉しそうだった。
「忍、寒くねえ?寒かったらいつでも言えよ。中戻るからさ」
「え…だ、大丈夫だよ」
「……ん。そっか」
振り向いてにこっと笑った秋人君を見ると、緊張して胸がドキドキする
すぐに目を逸らして下を向いてしまう
「あ…あ、秋人君こそ…さ、寒かったら言ってね」
「俺は大丈夫。寒さには強えから」
またにこっと笑って僕を見つめてくる
秋人君の腕にはまだ点滴が付けられていて、格好だって患者服だし……
僕より全然寒そうなのに、ニコニコ笑ってる秋人君は平気平気と言ってる…
でも…ど…どうしよう…僕はマフラーも手袋もしてるのに秋人君は布切れ一枚だ
「秋人君……」
「んー?」
せめて…マフラーだけでも貸してあげたい
「こ、ここここれ…ま、まふ、まふ…マフラーを…っ」
だから、頑張った
もしかしたら秋人君は痩せ我慢をしているのかもしれないし
暖かいといっても季節は真冬だ…後で体に響いたらいけないし…
自分の首に巻き付けていた白いマフラーを差し出すと、秋人君は首を傾げた
「??マフラーがどうしたんだ?」
「え」
「なんで外してんの。風邪引くぞ」
「あ、え…秋人君っ」
秋人君はそう言ってマフラーを僕の首に巻き付け直した。
何重にもぐるぐる巻きにされて強く後ろで結ばれた。
「ぷっ、エリマキトカゲみてえ」
「………」
エリマキトカゲ……
「ち、違うよっ秋人君!」
マフラー結んで欲しかったんじゃなくて、僕は君にマフラーを貸してあげようと思ったのに
「あ、こら…またマフラー外れるぞ」
「わっぷ…」
急にマフラーを鼻上まで上げられて息がこもった
秋人君は僕に背中を向けて歩き出す。
秋人君の吐く白い息が後ろから確かに見える
「秋人君……」
その格好じゃ、やっぱり寒いよ…
マフラー貸してあげる作戦は見事にダメだった。
だからせめて……
「て、手袋………使って下さい…」
「ん?」
「………」
言えた
言えたぞ僕よ‼︎
「…ぁ、その…さ、寒そうだから…」
でも言ったらなんか恥ずかしい‼︎
やばいよ…断られたらどうしよう……っ
「……ん。……さんきゅ」
差し出した手袋が僕の手から離れていった
でも、離れたのは右手の手袋……
「んじゃ、片方借りるな?」
「え……」
右手に手袋をはめると、秋人君は左手を僕に差し伸ばしてきた
「手、空いてる方寒いだろ」
「…………」
爽やかにはにかんだ秋人君は、僕の右手をとって手を繋いで来た
「あ、秋人君っ」
「忍の手ってやっぱちっさいのな。手袋も小せえ(笑)」
「〜〜〜ッ」
秋人君がニコニコと笑いながら、そのまま手を引かれ歩き出す
秋人君のおっきな手はとても暖かくて
恥ずかしさなんて微塵も感じさせないその笑顔は
お日様よりも眩しかった
というより……誰かと手を繋ぐなんて……初めてかもしれない
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