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本気で好きな奴
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あの後、新に電話してあいつの居場所を聞き出し、眼鏡男に教えてやると眼鏡男はすぐ病室を出て行った。
30分後に新から怒りの電話が掛かって来て、「何で教えたんだよ‼︎」って俺に怒鳴りながら、電話の向こうであの眼鏡男と言い合いをしてた。
あいつら本当に付き合ってんのか?って思ったけど、次第に電話越しでイチャイチャし始めたあいつ等をこの耳で確認すると、俺は静かに電話を切った。
まぁ、新がそいつと上手く行ってんなら安心だけど……
結局その日、忍から返事が返ってくる事も無く、忍はここに来なかった。
「………あ、秋人君」
「………」
そして今日、忍はいつも通り見舞いに来る時間帯に来てくれた。
1日会って無かっただけなのに、すげえ懐かしい感覚がして、顔見ただけで昨日までの変な不安なんか吹っ飛んで行った。
「ご…ごめんね……昨日来れなくて…」
「………や…うん…」
でも、まだ少し何か胸ん中がモヤモヤして
忍の顔が見れない。
「秋人君……あのね…「忍」」
『あのね』の先に言われる事が何なのか不安で、忍が言い掛けた時、それを止めてしまった。
「な…なに?」
「………」
忍の不安そうな声が隣から聞こえる。
何やってんだ俺は。1日連絡取れなかったくらいで何めそめそしてんだ。
「そ、その……だな……昨日……何かあったのか?」
「へ?」
「……や、……連絡無かったから…何かあったのかな…って」
「…………」
付き合い始めて日は浅い。
もしかしたら俺と付き合う事を後悔してんじゃねえかって、すぐ不安になっちまう。
「な、何にも無かったなら別にいいんだ‼︎また不良に絡まれてたらどうしようってさ‼︎その、心配だったんだ‼︎」
「…………」
「……………」
明るく振舞おうとして、笑ってそう言ったら
忍は下を向いてしまった。
「……忍?」
「……………」
「…………」
拳握り締めて、ぐっと何かを堪えてる様な忍を見て、心底俺は馬鹿野郎だと思った。
セックスの事以前に、俺と忍には二人の間に足りない物がいっぱいあった。
お互いをもっと良く知る時間。その時間もろくに過ごせてねえのに、何一人で舞い上がってヤるだのヤらないだの考えてたんだ
「…悪い」
「??」
もっと一緒に居る時間が欲しい
入院生活じゃ、それは出来ない
「忍……後悔してる?」
「え……」
「嫌な事あったら言ってくれ。俺、お前を傷付けたくねえし、怖がられたくもない。」
「秋人君?」
どうしてこんなネガティブ男になっちまったんだ俺。
本気で好きな奴の前ではもっとカッコいい男で居てえのに。
「最近俺の事避けてたのって…やっぱ俺が怖いから?」
「ちょ…秋人君?…」
知らなかった。
本気で好きになると、ほんの些細な事でこんなに不安になってしまうもんなのか
がくっと肩を落とした時だった
「違うよ‼︎秋人君‼︎」
「⁉︎」
大きく声を張り上げ、忍の小さい手が俺の頬を包んだ
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