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オリエンテーションで
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『今から、新入生歓迎会として全校生徒によるオリエンテーションを行います。』
マイクを通し、司会進行役の成海の声が体育館に響き渡る。
ざわざわとした体育館の中で、これから企画していたオリエンテーションを行う。
結局、昨日は日野に会う事は出来なかった。
思ったより印刷確認に時間を取られてしまい、今日の朝までは本当に忙しくてバタバタした。
『では、各クラス班ごとに分かれて下さい〜』
成海も疲れているんだろう。声に覇気が無い。
いや、彼はこういう行事は好まないから面倒くさいだけかもしれないね。
オリエンテーションの内容は、去年までは“じゃんけん列車”と言うものをしていた。
隣に居る人とじゃんけんをして、負けたら勝った人の後ろに付いてまたじゃんけんをする相手を探す。
負ければ勝った人の後ろに連結。その繰り返しだ。
最終的に勝ち残った2名でまたじゃんけんをして、最後に勝った人が優勝。という簡単なゲームをしていた。
ゲームが終わった後は各部活動がパフォーマンス紹介をする。去年まではこういう流れになっていた。
『は〜い。んじゃ、各班の代表者はくじを引きに来て下さ〜い。』
成海……とうとうやる気がゼロになったみたいだね。
壇上の上で胡座かくなんて何事だ……
後で叱らないと。
『引いたくじで同じ番号の班とグループになって下さい〜』
まぁ、彼の事はひとまず置いておこう。
今年のオリエンテーションは去年までと違う。
まず、各クラス班ごとに分かれて、代表者がくじを引く。
引いたくじと同じ番号の班とグループになって、後に渡される宝の在り処が記された暗号用紙をグループで協力して解く。
そして、グループの代表者2名が答えを頼りに、学校のどこかに隠された宝を探しに行く。
残った班のグループはその後別の軽いゲームを班内でする。
って感じになっている。
今回は生徒会も参加する。
宝とは無難にお菓子なんだけどね。
「月島樹です。みんな、緊張してるだろうけどよろしくね。」
今回、僕は班の代表者。
僕達の班とグループになったのは一年生チームだ。
さっそく渡された暗号用紙をみんなで解く。
軽いなぞなぞみたいなものだ。
数分もしない内に答えがわかってしまった。
でも必死に一年生が解こうとしているから僕はまだ答えを言わない。
「月島先輩っ‼︎分かりました‼︎答えは視聴覚室です‼︎」
「はい。よく出来ました。」
パァっと明るい笑顔で答えが出た暗号用紙を僕に見せてくる。
解けたと言った子に微笑み掛け、もう一人の代表者と暗号用紙を持って体育館を出た。
さすがに全校生徒による行事だから、人数が多い。
「この学校は校舎も広いから、僕から離れないようにね?」
「は、はいっ」
さて、視聴覚室か。
結構距離があるなぁ……
一緒に来たこの一年生は凄く緊張してるようだし。
何とかリラックスさせてあげれたらいいんだけど……
「せ、先輩は……その…会長……なんですよね?」
「うん。一応会長として活動させて貰ってるよ。」
「わ、ぁ……す、凄く光栄ですっ……会長と、一緒にこ、こうして歩いてるなんて…」
「僕も光栄だよ。水田君だっけ?一緒にお宝見つけようね。」
頬を真っ赤にする水田君は、僕の前をギクシャクしながら歩いてる。
少し大崎と似ているな。と思いながら、今度は僕から話し掛けようとした時だった。
「っ⁉︎」
空き教室から手が伸びて、そのまま中へ引き寄せられてしまった。
「あの……会長って呼んでも…」
目を手で覆われ、真っ暗だ。
水田君の姿が見えない
「…つ、月島先輩っ?」
すぐそばで水田君の声が聞こえるが、全身を何かに覆われていて動けない。
口も手で塞がられている。
「ンッ‼︎ンンーッ‼︎」
「しっ……ちょっと黙って」
「⁉︎」
そして、頭の上から聞こえて来た声
いきなりこんな事をされたからか、思わぬ事態になってしまったからか分からない。
でもその声を聞いた瞬間、心臓がどくんと跳ねた。
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