アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
会長の憂鬱
-
昼休みに入り、少し教室から出てみる。
2年生の教室があるのは2階。3年は3階だから、階段を降り、廊下を真っ直ぐと歩いた。
2年生。懐かしい感じがした。
去年僕達が使っていた教室を、新達が使っているんだ。
高校の3年間なんてあっという間だ。
今年は受験も控えている事だし、次期生徒会のメンバーもそろそろ考え出さなくてはならない頃だ。
にしても、今年の2年生は賑やかだった。
教室から飛び出してくる元気があるんだ。まだまだ若いな。なんてらしくない事を考えてしまった。
ある教室に着いて、入り口にいた女の子に頼み新を呼んでもらった。
教室の窓際で友達とお喋りをしていたところを邪魔してしまったけど、新は笑顔でこっちに来てくれた。
「会長、どうしたんですか?」
「え、えっと…」
新の第一声に、言葉を詰まらせてしまう。
どうしてここに来たのかは、自分でも分からなかった。
ここ最近日野の事で変な気持ちにばっかなっていたから、ただ新の顔が見たくなっただけで。
新を見たら、変な気持ちはどこかへ行ってしまうと思ったからで…
「あ、あのね、今日の放課後は生徒会の活動は無いから。授業が終わったら帰っていいよ。」
「ほんとですか⁉︎」
「うん。」
こんな事は、成海に伝えて新へ伝達してもらえばいい事だけど
「大崎にもそう伝えてくれるかな?」
なんでわざわざ新の元に来てしまったんだろう。
「分かりました‼︎言っておきますね‼︎」
「うん…。」
会話がそれで終わってしまって、新は教室の中へと戻って行った。
今日も新は可愛かった。笑顔がキラキラしてて、友達に囲まれる彼はとても楽しそうだった。
そっと胸に手を添えてみると、トク、トク、と心臓が小さく動いてる。
落ち着いてる。前の様な激しい胸の高鳴りは感じられない。
だけど新の顔を見て安心したはずなのに、胸のモヤモヤというか、変な気持ちは無くならなかった。
放課後。放課後はまた日野の勉強を見てあげなくちゃいけない。
僕が進んでそうした事だけど、なんだか放課後になるのが嫌だと思った。
僕は、彼が嫌いだ。
行動が読めない。何を考えているのか分からない。
彼が何を頑なに隠しているのかも分からない。
だけどそれを知りたいと思っている自分がいる。
もう自分でも訳がわからなくて、彼のせいで憂鬱な気分になる。
きっとこの変な胸のモヤモヤも、隠されている事が気になって仕方ないからなんだ。
隠し事は嫌いだ。嘘をつかれている気分になる。
放課後は、ちゃんと日野に聞いてみよう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
359 / 617