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可愛くない
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あれから意識完全に飛ばしたいっちゃんをそのままにして俺は帰ってしもうた。
ほんまは目ぇ覚めるまで添い寝して、起きたところを「おはようハニー」って言うちゃりたかったなぁ。
絶対目ぇ覚ましたらいっちゃんはプンプン怒ると思うし。痛くしてしもうたしな。
その顔が見たかったがやけんど、桐島から電話あってすぐ家に帰らんといかんくなった。
電車の中でもひたすらいっちゃんの事考えてぽけ〜としよった。
意外。意外やったで。いや想像以上に可愛かったで。まさかあれ程喘いでくれるとは思ってなかったでいっちゃん‼︎
「くぅ〜っ‼︎可愛ええ‼︎」
「キモいぞお前。」
「なんやと‼︎俺に向かってキモいとは何事ぞ‼︎」
「帰ってきてずっとニヤニヤしちゅうお前がキモいんじゃ。」
くそっ‼︎いっちゃんはあんなに可愛いのに桐島は全く可愛いくない‼︎
そうや。俺は桐島からの電話のせいで家へと強制帰宅させられた。
また迷子にでもなったがか。って思うたけんど、電話の内容は迷子じゃなかった。
「お前、いい加減親父さんに電話入れとけ。これ以上は誤魔化しも効かんぞ。」
ボロアパート。しかも六畳もないこんな狭い部屋ん中で新聞をどーーんと広げて桐島がそう言う。
俺は取り付けの小さい冷蔵庫の中から牛乳パックを取り出し、桐島が言うた事には軽く返事をして牛乳を一気飲みした。
案の定軽い返事された事に腹立ったのか、桐島は新聞を早々に机の上に置いて俺を睨んでくる。
「龍、頼むきしっかりしてくれ。最近のお前は自覚がちと足りて無いぞ。」
「えいやんか別に。もうちょっとくらい遊ばせてや。」
「遊ばせる為にお前をここまで連れて来たがやないわ。」
「………」
怒った。桐島が怒ったぜよ。ほんま短気はこれやき。
ノリというものを全然分かってない。
俺はこんなしんみりしたシリアス展開は嫌いなんじゃ。
「親父にはちゃんと電話するき。」
「今すぐせえ。」
あ……まじか。せんつもりやったのに。
電話するフリでもして家から逃げるか?
家の外にさえ行けば桐島は俺を追って来れん。方向音痴やきな。
けんどそれで永遠迷子になられるのも面倒くさいしなぁ……
「お前が電話せんがやったら、俺が電話するぞ。」
「や。俺がする。」
「じゃあ今すぐせえと言ゆうやろが。」
「………」
あはぁん…もう嫌や……
桐島はいっつもそうや。親父の事になるとこれや。
背中にビリビリと桐島の視線が飛んでくる。
振り向きたくないなぁ…
「俺はいつまでもお前の保護者やないがやき。本当の親御さんとはしっかり向き合え。」
「…………」
「これ以上逃げるのは無理ぞ。」
逃げる。その言葉が頭の中を旋回する。
振り向いて桐島の方へと足を進めた。ちっこいこいつの隣に座って、顔を引き寄せる。
「……おい。近いわボケ」
「なぁ、頼むき。もうちょっとだけ時間稼いでくれや。」
「もうこれ以上は無理やと言うとるじゃろが。親父さんに迷惑を掛けるな。」
「………」
……ほんま、桐島は可愛くない。
「おいっ…」
肩を押さえつけて畳の上に押し倒した。
抵抗しようと俺を蹴ろうとしとるけんど、ほんまこいつはちっこいき力も全然強くない。
そんなこいつを押し倒すのなんか簡単やった。
こいつは、親父の事になると目の色を変える。
うざいほど純粋な目をする。
時々それが鬱陶しくて、壊したいとさえも思わせられる。
「俺な、今日学校でエッチしたで。」
「は?だからなんや?」
「…………」
ああ。ほんま、可愛くないわ。
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