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諺は使い時が中々来ない。
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明らかに巨人は俺じゃない誰かに向けてそう言った。そしてその後すぐ、巨人が言った言葉に答えるようにして、生徒会室の扉が開かれる音がした。
「………」
一気に放心状態に陥る。けど、勝手に顔がボボボ、と熱くなる。きっと今の俺は耳まで真っ赤になってるだろう。
今の状況を頭の中で整理すると、さっき自分が言った言葉に後悔を覚える。
3分前に戻りたい。
「へぇ。お前の口からまさかそんな言葉が聞けるとはな。」
「…………」
穴があったら入りたい。なんて諺があるが、そんなの使う時なんて滅多にない。ましてやその言葉を叫びたくなる程強烈な恥を掻いてしまう事なんて人生で2、3回くらいだろう。
「どんな酷い事されても俺ならいいんだ?」
扉の方から、明らかに上機嫌なあいつの声が聞こえる。良からぬ事を考えている時の声だ。最悪な事態が俺を待ってるという事を俺に警告する時の声だ。
「なんで…お前が」
帰ったはずだ。あいつは俺に素っ気ないメール一つ残してさっさと帰ったはずだった。
足音が聞こえる。こっちに近付いて来てる。
もう起き上がりたくねえと心の中で強く思った。
巨人はソファから降りて部屋へ入って来た奴に陽気に話し掛けてる。
「いつまで寝てんだよ。」
「…………」
まさかまさかと思いながらソファの上で仰向けになっていると、ぬっ、と良く知る奴の顔が視界から天井を隠し、俺を見下ろした。
穴があったら入りたい。なんて諺、使う時なんて滅多にねえ。
「にしても、すげえ告白だったな。予想外だよ。」
「………眼鏡…」
俺は今、穴があったら全力で入りたい。
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