アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
一喜一憂
-
最近の僕はどうかしてる。
珍しく昨日は一睡も出来なかった。
日野から渡された、小さな紙に記された彼の携帯番号。電話をかける時なんて絶対来ないのに、気付けば連絡先を登録してしまっていた。そしてその夜、何度も携帯を開き日野へ繋がる携帯番号を眺めた。
眠れなかったのは、携帯から発せられる明るい光を何度も見ていたから、網膜が刺激されて眠りにつけなくなってしまっていたんだ。
…我ながら、本当に呆れる。
日野の連絡先を見てソワソワしたり、寝れなくなったり、一体何をしているんだ僕は。
今朝の勉強会でだって、「いっちゃんからの電話一晩中待ちよったのにぃ。」と言われてドキリとしてしまった。
電話を掛ける用事が無くても、ワン切りでも何でもいいから、連絡した方が良かったのかな?と少し考え込んでしまった。
おかしい。あれ程日野に対してイライラモヤモヤしていたのに、今はいちいち彼の言動に、一喜一憂している自分がいる。
もっと彼の事を知りたいだなんて、何を考えているんだ。
だけど、まだ全てを知り切れていない彼の事を一日中考えてる日が多くなった。あのヘラヘラした顔も、思い出すだけで前は不愉快だと感じたのに、今は……
「ありえない。」
今は何だと言うんだ。
仮に、彼の事をそういう目で見始めていたとしても、僕は認めたくない。
彼といる時間が増えたから、日野に対して変な免疫がついただけだ。
絶対に、……好きとかありえない。
「カレーライス大盛りでお願いします。」
目の奥が少しズキズキする中、いつもの様に食堂へとやって来た。
今日は朝ご飯を食べないまま学校へ来たから、いつもよりお腹が空いている。
空腹だから、考えが冷静ではなくなっているんだ。お腹いっぱい食べたら、もう一度日野の事について考えてみよう。
「ふぅ。」
お皿いっぱいに盛られたカレーライスを持ち、食堂に並べられたテーブルへと向かった。
お昼時で賑やかな食堂の、一番奥の席に座って「頂きます。」と手を合わせた時だった。
「はい‼︎俺も‼︎」
「⁉︎」
大きなその声に続き、カシャンと、机にトレーが置かれる音がした。
明るく大きなその声は食堂内に響き、周りに居た生徒達の視線が一気にこのテーブルに集まった。
「お、奇遇やなあ〜‼︎俺も今日カレーやで‼︎」
誰が隣に来たかなんて、声を聞くだけで分かる。
見なくても、隣に座ろうとするこの人物がニコニコと煩い程の笑顔を僕に向けているのが分かる。
「一緒に食べてもえい?」
「………」
きっと、尻尾を振りながら僕にそう聞いている。
「別にいいから早く座って。周りの生徒が見てるでしょ。」
お腹いっぱいになってから、改めて考えようとしていたのに。
「日野、食堂で大きな声出さないでよ。」
「んぉ?なんで?」
「……恥ずかしいから。」
本当にタイミングが悪い。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
406 / 617