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あの交差点で
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30分後に僕の家のすぐ近くの交差点で落ち合う事になった。
電話を切った後、一度自分の部屋に上がり身の回りの物を整理整頓し直した。普段から片付ける様にしているからそんなに散らかってはいなかったが、今日は少しの部屋の乱れをも許せず、納得行くまで部屋を掃除した。
10分程度で掃除を終わらし、そしてその後お風呂場へと向かった。
今日は体育があったから汗をかいてる。
あと20分。10分でシャワーを浴びて、5分で髪を乾かして、それから家を出たら待ち合わせの時間までに間に合う。
「…夜ごはん…どうしよ…」
頭からシャワーを浴びていると、ふとそんな事が頭の中を過った。
「冷蔵庫の中、何かあったかな?」
誘い方がまずかったかもしれない。
ご飯食べたかさえ聞く事を忘れてしまった。
もし食べていたら、僕も食べ終わったという事にしよう。
でも、もしまだ夜ごはんを日野が食べていなかったら…どうしよう…恐らく家の冷蔵庫には男子高校生二人が食べて満足出来る程の量の食材は入ってない。
「出なくちゃ…」
そうこう考えている間にもうお風呂場から出る時間だ。
キュ、とシャワーを止めて脱衣所へと出る。
こんなに早くシャワーを浴びたのは初めてだ。
体を拭くとバスタオルを頭から被り、下着とズボンを履いたら一旦携帯を覗く。
シャワーは予定通り10分で入れた。5分で髪が乾くか分からないが、上半身裸のままバスタオルを首から掛けドライヤーのスイッチを入れた。
お風呂上がりだからか、体がいつもより熱い。
鏡に映る自分の顔は頬がほんのりと赤くなっている。
「…………」
いや。お風呂上がりだからだ。
ブン、と首を横に振り頭に浮かんだ日野の顔を飛ばした。
「駄目だ…5分じゃ乾かない…」
時間を確認し、このままじゃ間に合わないと判断した僕は、髪の毛が半乾きのまま部屋に上がった。
Tシャツを着て、パーカーを羽織り玄関へと向かう。
家から交差点まで3分程だ。
でもギリギリに行くなんて誘った側がそれじゃ示しがつかない。
日野よりも早く待ち合わせ場所に着いてなくちゃ。
ドタバタと玄関へと急ぐと、『ニャー』と背後からリリィの鳴き声が聞こえてきた。
「ごめんね、帰ったらすぐご飯用意するから。」
リリィの頭を撫でると、手の平に頭を擦り寄せてくる。
ふわふわの毛並みと、歪みのない真っ直ぐな髭。
青い目に、綺麗な鳴き声。
「ふふっ、今から煩い大型犬が来るけど、仲良く出来るかな?」
リリィに向かいそう言うと、リリィは首を傾げて、また『ニャー』と鳴いた。
そして靴を履きドアを開ける。
外に出ると、涼しい夜風が頬を撫でた。
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