アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
コンビニから家まで
-
コンビニに着くとカゴを持って店内をぐるっと一周した。まず何を食べるかお互い決めて、弁当コーナーへ行ったけんど、もう殆ど弁当は残ってなかった。
仕事帰りのサラリーマンらぁが買ってったがやと思うけんど、流石にこうも早くに弁当が売り切れになっとるなんて思わんかった。
結局、コンビニで買ったのは安っすいカップラーメン。
カップ麺しか無いなぁ。って言うたら、いっちゃんは眉をしかめて「不健康だ。」なんて言うた。
カップ麺食べるくらいなら出前取るよ。って言い出したき、そうなる前にいっちゃんが俺から目を離した隙にちゃっかりカップ麺を購入した。
ほんでカップ麺が入った袋を見せたらいっちゃんは何故か下を向いた。
「ありゃ…もしかしてカップ麺嫌いやった?」
それとも何味が良いか聞かんと勝手に買ったき怒ったがかな?…やっぱ出前の方が好きながかな?
「嫌いとかじゃなくて、食べた事無いんだよ…」
「え?」
ポカンと口を開けると、いっちゃんはムッと眉を歪ませてそっぽを向いた。
「いやいやいや、嘘やろ。カップ麺食べた事無いって」
「本当だよ。」
「………」
……まじか。
いや確かにいっちゃんがカップ麺食べゆう姿は想像出来ん…というか想像したらかなり可愛い。
「じゃ。俺と初カップ麺やな。」
それを今から見れるがや。よっしゃ。
「君と一緒って言うのが腑に落ちないけどね。」
「ふふん。またそんな事言うて〜。」
そう茶化すと、バチン、といっちゃんの指が俺の額を弾いた。
突然デコピンをされて、(しかも強烈な)しゃがみ込んでしまった。いてて。と額を摩りながら痛いアピールしてみたけど、いっちゃんはそんな俺に目もくれずスタスタと歩き出してコンビニから出た。
慌てて後ろを付いて行く。
コンビニからいっちゃんの家まで歩く中、ほぼ沈黙やったけど、時々後ろを歩く俺を気にして振り向くいっちゃんは本当に可愛かった。
いっちゃんって、こんなに柔らかいオーラしとったかな?最初に会った時は俺に対して殺気ムンムンやったのに。
家までの道のりも、手、繋ぎたかったけどなんでか出来んかった。
無防備な格好で、無防備に俺に背中見せて、無防備に俺を家に招いて。
最初の頃のいっちゃんなら、そんな事絶対せんかったはずや。
「………いっちゃん。」
名前を呼ぶと、ピタリと止まって俺の方へ振り向く。
「なに?」
「………」
前は、名前呼んだだけで睨まれて、面倒くさそうに返事をして来よったのに、この時のいっちゃんはムスッとこそはしちょったけんど、面倒くさそうには見えんかった。
「散歩しゆうみたいで楽しいなぁ?」
「君は本当に能天気だよね。」
俺が言うた事に、いっちゃんはクスリと笑ってそう返して来た。
「………」
暗くて薄っすらとしかその顔を見る事は出来んかったけど、薄っすらでもその笑顔は印象的やった。
こんなに綺麗に笑える人がおるがや。って思った時
少しだけ胸がキュンとした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
418 / 617