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綺麗な名前
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「お邪魔しまぁ〜す。」
ふわふわする気持ちのままいっちゃんの家に上がる。
玄関をあけるとそこには真っ白い一匹の猫がお座りをしていっちゃんの帰りを待ちよった。
「ふぇ〜、この子が例の白猫?」
「そうだよ。綺麗でしょ?」
白猫を抱き上げて俺に見せてくる。
いっちゃんが猫の頭を撫で撫でしゆうとこを見たら、何故かムズムズして来た。
「俺も頭撫で撫でしてほしい。」
「さ。夜ごはんにしようか。」
フル無視かぁーーいっ!
「冗談やって、いっちゃん待って!」
心の中でツッコミを入れて、急いで靴を脱いでいっちゃんの後について行く。
入って左側にはでっかいリビングがあった。
リビングのソファに誘導されて、「少し待ってて。」と言われて俺はソファに座りじっとしよった。
ほんなら、後ろから【カラカラ】という音が聞こえたき、振り向いてみたらさっきの白猫にいっちゃんはキャットフードをあげよった。
カラカラという音は皿にキャットフードが入れられた音や。
カツカツと軽快にキャットフードを食べ始めた猫の頭を穏やかな表情でいっちゃんは撫でよった。
また、ムズムズする。
「なぁなぁ〜。カップ麺食べようや。」
「あ、そうだね。」
声を掛けるといっちゃんはハッ、として立ち上がる。
完全に俺の事を忘れとったな。
どうやらいっちゃんはほんまに猫が好きらしい。
白猫を見たら分かる。毎日ブラシで毛を整えて貰いゆうがやろうなぁ。汚れひとつない綺麗な白い毛。
目の色と同じ青い首輪。
いっちゃんは湯を沸かすためにキッチンに向かったけど、その後ろをあの白猫がポテポテと付いて行きゆう。
まだキャットフード食べ切ってないのに、いっちゃんが少しでも離れたら後をついて行くとか。
この猫もいっちゃんの事がほんまに好きながやろうなぁ。
んー。俺やっていっちゃんの事好きやし。
でも俺なら後付いて行くよりも飛び付いていっちゃんの顔ペロペロしたい。
「はい。3分待てばいいんだよね?」
「おっ!」
っと危ない。そんな事をしたら俺は怒鳴り散らされる。
「ん!3分間な!」
湯が注がれたカップ麺を受け取り机に置く。
いっちゃんは俺の隣に座って、そしていっちゃんの膝の上にあの白猫。
「好きやなぁ。」
「えっ?」
ボソリと呟いたその言葉に、何故かいっちゃんは体をビクン、と跳ねらせた。俺は「ん?ほら、その猫の事。」と言うて笑ってみせた。
「両思いやな!このリア充め!」
「……ほんと意味わからない。」
ははは。一度は言うてみたかった「このリア充め!」
意味分からん言われたけど言うた本人も意味分からんきえい。
言ってみたかっただけ。
「名前はなんて言うが?」
「……リリィだよ。」
その猫の名を呟き、目を伏せていっちゃんはまた猫を撫でた。
「リリィなぁ。」
綺麗な名前。なんて思いよったら
あっという間に3分が経った。
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