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僕に出来ること
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結局、何をプレゼント……いや、ご褒美として秋人君に渡すか決まらないまま、放課後になってしまった。
校門に寄りかかり、僕がそこへ走って行くとその背中が見えた。
見慣れた黒い学ランに、赤い髪。
側から見ればザ・不良。
僕以外の生徒はその人を横目にそそくさとその場を避けて通る。
僕も前まではそうだった。
見るだけで怖くて、その人と知り合いだなんて周りに知られたら最悪だ。なんて毎日思ってビクビクしてた。
でも、今じゃこの人が僕の恋人。
僕のかれ……彼氏…
「ふぅ〜。食った食った〜。」
「……………」
放課後、秋人君がいつもの様に学校まで迎えに来てくれて、二人でスーパーに寄り、買い物を済まし秋人君の家に来た。
そして小夏ちゃんと春人君と僕が遊んでる間に秋人君が夜ご飯を作ってくれて、食べ終わる頃には小夏ちゃんと春人君はウトウトし始めていた。
「今日のハンバーグどうだった?美味かったか?」
子供用のフォークを持ったまま、眠たそうにあくびをしてる小夏ちゃんと、すでに秋人君に寄りかかり眠ってしまっている春人君。
二人の口周りに付いたデミグラスソースを秋人君が拭う。
「もちろん美味しかったよ。」
「ん。良かった。」
ニコリと笑い合って、小夏ちゃんと春人君を抱えて秋人君は立ち上がった。
「悪い。小夏達寝かせて来るから食器重ねといてもらえるか?」
「う、うん!」
秋人君は二人を抱えて小夏ちゃん達の部屋へと行ってしまった。
残された僕は食べ終わった食器やフォークにナイフをまとめて、流し台へと運ぶ。
カシャン、と食器から乾いた音がする。
「………ふぅ…」
この流れも、慣れて来ちゃったな。
なんだか、新婚さんみたいで……ちょっと嬉し…
「あ!忍!」
「っあい‼︎」
「うおっ‼︎」
ひょこっと台所に顔を出したのは秋人君。
突然名前を呼ばれびっくりして飛び跳ねると、秋人君もびっくりしたらしく驚いた声を出した。
「ご、ごめん…びっくりさせた?」
「ううんっ…僕こそごめん…いつも大袈裟に驚いて……」
「…………」
「…………」
「……………」
あ……沈黙…
何か喋らなくちゃ……
そう思いながら秋人君を見上げると、秋人君は下を向いてチラリチラリとこちらを見てきた。
「改めて自分から言うとなんか……厚かましい奴って思われるかもしれねえけど…忍…忘れてるかもしれねえからその…さ」
「……?」
「そろそろ…ご褒美……ほしいな…」
⁉︎‼︎‼︎⁉︎‼︎‼︎⁉︎ギャフンっ‼︎‼︎
「っ‼︎」
「え?し、忍??」
秋人君が「ご褒美ほしいな」と言った顔は僕の萌えゾーンを見事撃ち抜く照れ顔だった。
「ごめん…ご褒美…あ、うん…」
バキュンと銃で心臓を撃ち抜かれ、さらにはさっきの秋人君の照れ顔が脳裏に焼き付き頭がクラクラする。
「大丈夫か?フラフラしてっけど……俺の部屋で少し横になる?」
「や…ぁ、大丈夫、です……」
どうしよう……ご褒美何にするか結局決まらないままこうして秋人君の家に来てしまったけど…
「…………」
「………」
「…………」
また、沈黙……
どうしよう…早く何かしなくちゃ……
「はは、ごめんな?無理になんて言わねえし、忍がこうして今日みたいに一緒に飯食ってくれるだけでも俺にとってはご褒美だよな♪」
「?あき、ひとく…」
あれ……
「デザート食べる?昨日プリン作ったんだけど」
秋人君は、そう言って僕に背を向けた。
「秋人君…」
「テストもさ。前々からしっかり授業受けときゃ忍に迷惑掛ける事もなかったよな。」
「僕、迷惑なんて思ってないよ!」
僕が困った顔したから、黙り込んだりしたから…
秋人君にまた気を遣わせてる…
「ん。分かってる。忍はそんな事思う奴じゃねえって。」
「…っ」
ポン、と頭に手が置かれゆっくりと撫でられる。
僕に優しい笑顔を向けて、そして手が離れていく。
「………」
だめだ……これじゃいつもと変わらない。
いつもの何もしない僕のままで、秋人君に何もしてあげれなくなる。
「秋人君っ‼︎」
「⁉︎」
咄嗟に、頭から離れていこうとした秋人君の手を掴んでしまった。
「ど……した?」
「………っ」
ドクン、ドクン、って心臓が煩い。
手が震える。緊張してる
…声…出せる…かな?
「ご、ご褒美……」
「え?」
「僕にしてほしい事とか…欲しいものとか……自分でもいっぱい考えたんだけど分からなくて…よ、用意出来てなくて……」
「…………」
「だから……」
僕に出来る事は、何でもしてあげたい。
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