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二人の長い夜
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「……っ……」
「秋人君…」
……俺は、今日という日を決して忘れない。
「…大丈夫?」
「……ん、…だ、大丈夫…」
「でも…血が……」
………そう。俺は今、鼻血を出してしまっている。
原因は言うまでもなく、先程忍がエンジェルボイスで呟いたセリフのせい。
「忍くん……狙って言いましたかね?」
「え?」
ポツリと聞いてみると、忍は首を傾げて頭の上にハテナを浮かばせた。
体勢はあっけなく崩れ、俺はとりあえず鼻血を止めないといけない。
まさか、忍があんな言葉を言い放つなんて思ってなかったから、その言葉は俺の心臓を見事に撃ち抜き、そしてこのザマだ。
「はぁ……俺カッコ悪りぃ…」
「そ、そんな事ないよっ‼︎秋人君はかっこいいよ‼︎」
「……………」
ため息を吐きながら呟くと、忍は目をキラキラさせながらフォローを入れてくれた。
……いや、本音かな?……
「ん。さんきゅーな。」
そうだったら嬉しい。
「ごめんなぁ。忍がせっかく誘ってくれたのに鼻血出しちまうとか。流れストップさせちまったな。」
「…え、ぁ…」
ポン、と忍の頭に手を置きそう言うと、忍の顔がボボボッ、っと赤く染まった。
「ぼ、僕…その…」
「ん。」
「えと……」
下を向いてタジタジしてる。
指と指を合わせて体縮こませるのは、忍が恥ずかしがってる時と、照れてる時。
可愛いな〜。なんて思いながら、忍の頭をもう一度撫でた。
「………じゃ、じゃあ……」
「お?」
「…今日は…もう……しない、の?」
「………」
お?……ん?…え?
「僕……し、したい…」
「…………」
………俺は、今日という日を一生忘れない。
「んンっ⁉︎」
鼻血は止まった。気合いで止めた。
「あ…っ…」
「…………」
そして、体勢は元に戻る。
再び俺は忍を押し倒した。ギッ、とベッドが軋んで、明かりが灯された部屋では、忍の表情はハッキリと分かる。
「いいのか?…ほんとに…」
「………」
もう一度、忍にそう確認してみると、忍は目をぎゅっと閉じてコクンと頷いた。
「………怖くなったら…言ってな?」
「…う、ん…」
ゆっくりと、顔を落とし忍の頬にキスをする。
「……、っ…ぁ…」
頬、耳、首…ゆっくり、怖がらせないように、練習してた時みたいに、優しく。
「…あきひとくん…声…出ちゃ…ぅ…」
「いいよ…我慢すんな。」
「でも…隣の部屋で…小夏ちゃん達寝て…ッアぁ‼︎」
ちゃんとシャツのボタンも外して、乳首を親指と人差し指で抓ると、忍はビクンと体をくねらせ声を荒げた。
「へーき。小夏達一回寝たら中々起きねえから。」
「…っ、でも…」
「忍も今日は泊まってけよ。そしたらゆっくり出来るし。」
結構俺は冷静になれてはいる。
だが、心の中はパーリナイだ。
何度心の中でガッツポーズを決めてる事か。
何度心の中でカメラのシャッターを切ってる事か。
「お母さん…怒るかな?…無断で外泊だなんて…」
「んじゃ、明日の朝、一緒に謝りに行こうな?」
ニカリと笑ってみせると、忍も笑って返事をしてくれた。
「…………」
「………」
そして、見つめ合った後、キスをして
「忍……好き…」
抱き締めて、またキスをして。
「…ぼ、僕も……好き…」
俺と忍の、初めての長い夜が始まる。
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