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自業自得
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「おい、なんか渋谷元気無くね?」
「朝からあの調子だよな。げっそりしてるし。」
「渋谷ぁ〜、次移動教室だぞ〜。」
5限目の休み時間、机に突っ伏しているとダチに肩を揺すられた。
軽く手を挙げて「分かった。」とサインを出すと、ダチは「んじゃ先に行ってるからな。」と言って教室を出て行ってしまった。
そして、教室には俺ひとりきり。
今の状況に効果音を付けるなら、『ポツーン』だ。
「……ゔぐっ…」
右頬を机にピタリとくっつけ、窓の外を眺めていると急に吐き気が襲って来た。
「ぎもぢわるい……」
何故気分が悪いのか、自分では分かっている。
「……ぅ…」
………朝…マラソンする前、そしてした後、俺は飯を食わなかった。
実は財布を眼鏡の家に忘れて来てしまったのだ。
制服のズボンのポケットの中に入っていたわずかなお金で飲み物を買って、水は飲んだけど、かなりの空腹の中走っちまった。
そして在ろう事か、今日は恐ろしい程に暑い。
汗だくになったジャージから制服に着替えたけど身体はベタベタしててそれが更に気持ち悪い。
昼休みになってようやく眼鏡から連絡があって、『なんで今朝先に帰ったの?』って来てたけど、メール開いた時に俺は返信する余裕が無いほどに気分が悪くなってしまっていたから結局眼鏡に返信しないまま今に至る。
眼鏡からもそれからの連絡は無いし、向こうは多分、俺が“眼鏡に対しなんらかの理由で勝手に怒ってるだけだから暫くそっとしておこう。”くらいに思ってるのかもしれねえ。
確かに俺は怒っている。眼鏡の昨日の失礼な発言に。
「くそ…動きたくねえ…」
だが、なんてザマだ。
自業自得という言葉が今の俺にはお似合いだ。
「はぁ……」
次の授業どうすっかな。
一旦保健室行って休もうかな……
「…………」
まさか、自分が暑さにやられるような男だったなんて。ここまで体力落ちてるなんて思わなかった。
「軽い筋トレから始めるべきだった。」
いやそもそも、体育祭が明後日なのに2日前にトレーニング始めるってどうなんだ?計画性なさ過ぎだろ…
「ゔ〜〜〜〜〜」
なんか、俺ってこんな馬鹿だった?
もっとしっかりしてる奴だと自分では思ってたのに。
「眼鏡ぇ……」
ポロリと自分に呆れて涙が出た。その時不意にあいつの事を呼んでしまった。
「俺……お前に勝ちてえよ…」
「………」
「見返してやりてえよぉ……」
「……………」
ダーッと涙を流しながら机に突っ伏していると、6限目の始まりを知らせるチャイムが鳴った。
その時気分の悪さは最高潮で、そのせいで意識が遠のいて行ってんのか、ただ疲れて眠いのかもう分かんなかった。
そして俺は、チャイムが鳴り響く中、俺の方へと誰かが近付いて来てる事に気付けなかった。
「……ゔぅ……」
「………」
でも、ぼやけていく視界の中で、誰かが前の席に後ろ向きになって座り、俺を見下ろしている事だけは分かった。
「…めが、ね……」
「………」
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