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感覚
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どうしてこんなにも胸が痛いのか。息が詰まりそうで苦しいのか。涙が出そうな程、愛しいと思うのか。
今まで、散々この感覚を味わってきたと言うのに、それとはまた違った今のこの感覚はとても心地良いと感じる。
何度も、何度も日野の名前を呟いた。
抱き締めて、キスをして、好きだと何度も呟いた。
僕と日野以外誰も居ないこの教室の中には、鳴り止まない水音と、愛撫の声と、二人の吐息がいつまでも続いた。
日野の体に沢山触れて、日野も僕の体に沢山触れて、こうしている間に1時間という短いお昼休憩は終わってしまう。
「どう?…っ、される側も……悪くないでしょ?」
「…ん…そ……やな……」
奥まで、日野の体に僕を刻む。
床に手を着くと、熱を持たない床の熱が手のひらに広がる。
日野に覆い被さって、また奥まで腰を突いた。
苦しそうに吐息を漏らす日野の頬にキスを落とし、そして唇へとキスをする。
「んむ、ンっ、…は、んんっ‼︎」
僕よりも大きな体で、僕よりもずっと大人びた顔付きの日野が善がる姿がとても可愛くて。
「お昼休憩……終わっちゃうね…」
「え…」
ポツリと呟いてしまったその言葉は、僕の今の気持ちを全て表していた。
「ご飯もちゃんと食べなくちゃね……」
「?……そ、うやな…」
あと15分。
たった15分……その時間さえも、こうしてずっと君と繋がっていたいと僕は思う。
「ごめん……中には出さないから…」
「えっ、いっちゃ…ッ⁉︎‼︎」
時計の針が一つ、また一つと針を進める度に、『時間なんて止まってしまえばいい。』なんて……
「あっ、っ、ちょ、待って…いっちゃんっ‼︎…」
日野の体を押さえつけて、止まらない欲をそのまま彼にぶつけた。
……本気で嫌なら僕を押し退ければいい。
君にはそれくらい簡単に出来るだろうに。
「君って……っ…本当に僕の事好きだよね…」
「な、……あぁっ‼︎」
だって君は今、本気で僕の事が好きって顔をしている。
自惚れだと笑われてもいい。僕は君のその顔を見る事が出来てとても満足している。
僕の事が好き。僕も君の事が好き。
思い合ってる事がこんなにも幸せな事だなんて想像もしなかった。
「いっちゃんも…っ、俺の事が…本当に好き…ながやろ…?…」
「………」
日野が自慢気に笑いながら言ったその言葉に、ピタリと体の動きを止めてしまう。
「……俺の事……めっちゃ好きーっ…って顔しちゅう……」
「………」
子供のように歯を見せて笑う日野が、そっと僕の頭を撫でた。
すぐに言い返したい気持ちになったけれど、言い返さなかった。
「……だよ」
「…なに?……聞こえん。」
「…………」
こんなに近くにいるのに、聞こえないだなんて嘘だ。
「……そうだよって言ったの…」
「ふふっ」
「なんで笑うの……」
「んーん。嬉しいなぁ〜って……」
「……っ」
胸が痛い。
「じゃあ……これからもいっぱいエッチしような…?」
この人が愛しい。
「いっちゃん…」
名前を呼ばれる。それだけなのに頭の中が満たされる。ずっと味わいたかった感覚、ずっとそれに焦がれていた感覚、僕の好きなこの感覚。
「時間…止まってほしいなぁ…」
きゅ、と僕の腰に足を絡め、首にしがみ付く日野は、僕が考えていた事をさらりと口にした。
見透かされたようで少し驚いたが、ああ、日野も同じ事を考えてたんだと思うと、また胸がジリジリと痛んだ。
「……そうだね。」
本当に、止まってしまえばいいのに。
……僕と日野の関係はまだ始まったばかりだというのに、少しでも離れてしまうのが惜しくて、結局お昼休憩が終わる寸前まで、日野と抱き合っていた。
幸せな、胸の痛みに包まれながら。
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