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解決策
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「はあ⁉︎対抗リレーのメンバーが足りない⁉︎」
「本当にごめん‼︎」
「朝から具合悪そうだったんだけど、無理して今までなんとかやってたみたいで……」
「さっき保健室に美樹を連れて行って熱測ったら8度もあって……」
「まじかよ……」
午後の競技が始まり一時間が経過した。
競技を終え、応援席に戻るとクラスの実行委員、その他二人の女子が俺の元に駆けつけてきた。
話の内容は午後の部最後の競技、『色別対抗リレー』の選手が一名、リレーを辞退したという事。
リレーの選手の内、昼休み中更衣室に居た俺だけがその事を聞かされてなく、そしてなんやかんやで伝達が遅れ、今その事を耳にした。
「熱あるなら仕方ねえけど……どうすんだよ一人足りないぞ?」
他に出れる奴は居ないのか?と続けて聞くと、女子はお互い顔を見合わせ肩を落とした。
「あたし達のクラスの中で足の早い子は全員リレーに出てるし……」
「先生が替わりは男子でもいいって言ってくれたんだけど、正直美樹って男子より足が速いから、みんな恥かくのは嫌だって言って……」
「なんだよそれ……」
ちらりとダチ達の方を見ると、すぐに視線を外された。
根性無しのそいつらの背中を見ると呆れてため息が溢れる。
「お前ら……恥とか言ってる場合じゃねえだろ。」
「そ、うだけど……」
「うちの組の選手、全員足がクソ速いじゃねえかよ……バケモノ並みに。」
「そうだよ。バケモノの中に俺達凡人が入ったら同じチームの先輩に後で嫌味言われんじゃん。」
「そーそー。負けたのはお前のせいだってさ。渋谷はチビだけど足は速いからそうやって言えんだよ。」
「チビだけどな。」
「そ。チビだけど。」
「殴るぞてめえら……」
くそっ、まじで殴りてえ。
なんなんだこのクラスの男子共は……
ちったあやる気見せてみろよ根性無しがっ‼︎‼︎
にしても俺はチビじゃねえいやチビだけど‼︎んな何回も言わなくていいだろまじ殴りてえ‼︎‼︎‼︎
「最悪一人の選手が二回走るってのもアリみたいなんだけど……」
「…………」
二回か……別に走れない事はねえけど、一回目に走った時より速さは劣る。
俺たちの青組は現在最下位だ。だけど、得点が高い対抗リレーで一位を取れば逆転は十分あり得る。
どんなに他の組と差があっても、この対抗リレーで逆転出来るという点から、どの組もこの対抗リレーの選手選抜には力を入れる。
「……確かに……お前らじゃ勝てねえわ……」
「ひっでえ‼︎‼︎よくも言ったな‼︎」
「新てめえ‼︎やっぱり俺たちの事見下してたのか‼︎」
「ちくしょう‼︎‼︎お前足短けえのになんでそんなに速いんだよ‼︎」
「短くねえよ‼︎‼︎」
おいおいと泣くフリをし始めたダチの頭に一発ずつチョップをお見舞いしてやった。
いたた、と涙目で俺を見ながらダチはしゅんと肩の力を抜いた。
「渋谷君……ど、どうしよう……」
「……っ……」
不安気な声でそう言われ、グッと唾を飲んでしまう。たかがリレー。別に足に自信が無い奴が出ても俺はいい。なんなら俺が二回走ってもいい。
けど、ダチが言ったように問題は三年の反応。
三年にとってこの体育祭は最後になる。やたら気合い入れた奴等が多い分、人の視線を気にする奴にとって補欠でリレーに出るのは荷が重い。
「はぁ……」
さて、どうしたものかと頭を悩ませていると
「…………あっ。」
素晴らしい解決策が頭に浮かんだ。
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