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反省
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体育祭が終わった。
家に着いて、ベッドに倒れ込むと、体育祭がついさっきの事なのに、ずっと昔にあった事の様に思えてくる。
なんて、カッコつけて思い出に浸ってみたけど、俺には今そんな余裕などない。
勝つには勝った。
眼鏡との約束で俺は初めてあいつに勝つ事が出来た。のに、勝った気がしないのはきっと違反行為をしてしまったからなのは分かってる。
もう一つの理由は、思いの外会長に叱られなかったという事だ。
眼鏡にも部長さんにも、あれ程会長に叱られるぞって言われてたのに、会長は全然怒らなかった。
後ろめたい気持ちがあるから、素直に勝利を受け入れられないのなら、初めから違反行為なんてしなければよかった話しだ。
でも俺だってあの時は必死だったんだ。
秋人はリレーが終わるとすぐに着替えを済まして一旦学校を出た。
大崎とは後でまた落ち合う約束をしてたらしく、秋人本人はリレーに出れて楽しかったと言っていた。
大崎もなんだかんだで好きな奴が活躍してる姿を見れて喜んではいた。
そして俺はと言いますと。
俺は、勝ったのに、敗北感しか感じてない。
それを感じたのは表彰式が終わったすぐ後の事だ。
眼鏡が俺のところに来た。
『約束通り、俺を好きにしていいよ。』
さて、この言葉を言った時の眼鏡の表情を想像出来るか?
俺はあいつに勝って、俺に敗北した時、俺に泣き縋るあいつの顔が見たかった。なのに眼鏡はいつものすまし顔で、まるで負ける事を楽しみにしてたかの様な、清々しい表情を見せてきた。
俺はその時敗北を感じた。
まぁ、違反行為して勝ったから、それに団体競技だし……正式に真っ当な方法で勝った訳じゃないけど…それでも一応、一応あいつに勝ったんだ…
だから、少しは喜べると思ったのに、全然だった。
「はぁ……」
なんか、あいつに勝って「1日俺の事、様付けで呼びやがれ」って絶対言おうと思ってたのに言える心情じゃない。
でも、約束しちまったし……
「………どうすっかな…」
普通に、ジュース奢れ。とか、代わりに課題やれ。とかにした方がいいのか?
いや、それはただのパシリだ。考えがヤな奴だな、俺……
「………あ〜ちくしょ〜」
全然スッキリしねえ。なんだこれ。
ガシガシと頭を掻いてしまう。きっと眼鏡は今頃家でのんびり休んでる。負けた事に対して何も悩みも考えも悔しいと思いもしないで、絶対内心楽しんでる。
「完全にやらかしちまったな……俺……」
今日の自分の行動と、眼鏡に体育祭での勝負を持ち込んだ事に対し暫く反省していると、玄関からガチャリと家の扉が開く音がした。
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