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眼鏡より偉い
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「眼鏡‼︎」
「…………」
呼び鈴が鳴り玄関の扉を開けると、そこには両手に買い物袋をさげた新が立っていた。
予定よりも1時間も早く到着した様で、やたらとでかい声で眼鏡と叫ばれ、少し驚いてしまう。
「どうしたんだ?」
新がうちへ来た事に関してはなんの疑問も無かった。元々、体育祭が終わり次の日は休み。つまり今日は俺の家で2人で過ごそうと約束をしていた。
「なに買って来たの?」
「うるさい…いいから入るぞ。」
「あー、うん。」
どうしたんだと思ったのは、新がパンパンになったスーパーのビニール袋を2袋も持って来た事に対してだ。
長ネギが袋から覗いていて、肉や野菜も透けて見える。
「お前、飯食ったか?」
とりあえず新を中へと招き入れ、リビングに入った。時間は午前11時。飯は食べたのかと聞かれたが、昼前だからもちろん食べてない。
「いや、お前と一緒に食べようと思ってたから食べてないけど。」
そう言うと、新は勢い良く俺の方へと振り向いた。
「よし、約束だ‼︎」
「約束?」
ふん、と胸を張り腕を組んだ新は、続けて「てめえ覚えてねえとは言わせねえぞ‼︎」と言ってきた。
「ああ。」
体育祭の件か。と察しがつく。
「好きにしていいって約束だからな。」
「はいはい。」
まさか、家に来るなりその話題を持ち込んでくるとは思わなかった。昨日は体育祭で優勝したのに、やけにテンション低かったし…
「で、なにしてほしいの?」
新は責任感とか強い方だし、昨日の違反行為の事引きずってこの約束の事だって取り消しにしてくると思ってたけど、どうやらそうではないらしい。
「い、いいか‼︎最初に言っとくぞ‼︎今日1日俺はお前を好きに出来るんだからな‼︎」
「うん。いいよ。」
「なにを要求されても断るんじゃねえぞ‼︎」
「…?……うん。」
今日の新はいつにも増して声を張る。
だけど俺はその姿に少し違和感を感じた。
「今日は俺がお前より偉いんだからな……」
「分かってるよ。」
空元気を振りまいている様な、そんな感じ。
「じゃ、なにからしようか?」
「………っ…」
スルリと新の腰に手を回すと、新は俯いてしまった。
「眼鏡……」
「ん?」
こういう風に冗談交じりで新に触れると、いつもはテンパってすぐ取り乱すのに、今日は珍しく突き飛ばして来なくて、服にぎゅっとしがみつきながら、仏頂面な新が俺を見上げた。
「りょ、料理……教えてくれ。」
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