アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
仕返しをしてやろう
-
「ふぁぁぁぁああ〜」
目が半分も開かないのに、口はガバリと大きく開いてとんでもないあくびをしてしまった。
「昨日寝れなかった?」
「寝れた」
そう答えると眼鏡も小さなあくびをした。
寝れたと言うのは真っ赤な嘘だ。ほんとは昨日全然寝れなかった。
俺は昨日、一番風呂に入りながら眼鏡への仕返しをどうしてやろうかと念入りに考えていた。
そして「そうだ。今日は俺があいつを襲ってやろう」と素晴らしい案が思いつき、何度も頭の中でシミュレーションしながら部屋に戻った。
部屋に戻ると眼鏡はベッドの上にうつ伏せになってて、寝息が聞こえてきたから更にもってこいな展開だと思って俺は眼鏡の上に跨ったんだ。
さて、お袋さんは家に居るが、なぁにバレなきゃいいんだ。もう付き合ってるって暴露したんだし、それに眼鏡が俺に襲われてるとこをお袋さんが目撃したとしても、ある意味それはお袋さんに対しての仕返しだ。
俺を馬鹿にした上城親子への、辱めを込めた仕返しだ。
なんてその時の俺は悪魔に心を乗っ取られてたんだ。そう悪魔だ、悪魔。うん。
うんしょうんしょと、眼鏡の服を脱がそうとうつ伏せになった眼鏡の体を横に倒した。
寝たふりをしてないかを確認する為に、眼鏡の鼻を摘んでみたり、頰っぺた引っ張ってみたりしたけど眼鏡は全然起きる気配がなかった。
しめた。と思った。初めて眼鏡を好きに出来る。いや今こそ俺が主導権を握れる瞬間だと思ったんだ。
「悪く思うなよ」気持ち良さそうに眠る眼鏡にそう吐き捨て、俺は眼鏡の唇を奪ってやろうかと思ったんだ。
そっから服脱がせて、こいつがいつも俺にするみたいに、強い愛撫でいじめてやろう。
再度俺の中の悪魔が「ヒヒヒ」と笑った瞬間だった。
『うわっ』
突然勢い良く腕を引かれ、急に視界が低くなり、顔面に温かい熱が広がった。
何が起こったのか、それは眼鏡に抱き寄せられた。眼鏡は起きたのか?いや起きてはいない。
まだ起きたならよかった。起きて、いたずらしようとする俺をまたからかうなら良かった。そうなら俺はきっとその時点で眼鏡の腹に渾身の一撃を食らわせる事が出来たはずだ。
でも眼鏡は起きてなかった。1ミリも目は開いてない。気持ち良さそうな寝息だけが俺の髪の毛を撫でた。
「そういえば、昨日めちゃくちゃ抱き心地の良いクッション抱えて寝る夢見た」
「はぁ?夢の中で寝るとか馬鹿かよ」
「ほんと変だよな。まぁおかげでぐっすり寝れたけど」
当の本人はこれだ。人の気も知らないでスッキリした顔を見せてくる。
「はっ、俺だって昨日ぐっすりだったぜ」
「その割に目の下クマ出来てない?」
「で、出来てねえよ‼︎」
大嘘だ。あんな状態で寝れるわけない。
あの後どうせ寝ぼけて俺をクッションかなんかと間違えたんだろうと思って、眼鏡が俺を離すのを待ってた。
だけど眼鏡は離すどころか、更に強く抱き締めて…いや、抱きつくの方が言葉は合ってる。
俺は一晩中、眼鏡に抱きつかれたまま夜を過ごした。
「……誰のせいだと思ったんだ」
「なに?」
「んでもねえよ」
あんなに無防備な眼鏡を俺は知らない。
あまりにも無防備だったから、俺は仕方なく、クッションになってやろうと思った。
だから、結局襲ってやる大作戦も失敗に終わってしまったというわけだ。
「そうそう、今日からお前の家に泊まるから」
一度俺の家に寄って、学校へと向かうその途中で眼鏡がそう言う。
「すまねえけど、明日からにしてくれ…」
「??」
昨日の今日で、またお前と一緒に寝たら、いい加減身が持たない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
503 / 617