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良いもの
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1限目の休み時間、俺は会長に呼び出されて生徒会室に向かった。
生徒会室に入ると、山積みになった資料が置かれた会長机から、にこにこ笑顔の会長が顔を出した。
初めはなんでまたそんなに大量の資料が⁉︎と思ったけど、別に珍しい事じゃなかったから言わないでいた。
「ごめんね。手伝わせちゃって」
「大丈夫ですよ。手伝うのが俺の仕事ですから」
束になった資料を一つにまとめ、ホッチキスでパチンと留める。
どうやら今日の昼休みまでに終わらせなければならなかった資料にミスがあり、会長が急遽修正をしているらしい。
「成海を呼ぼうと思ったんだけど、次体育らしいから」
続けて会長は、「大崎は先生に呼び出されてるって聞いたから」と、申し訳なさそうな顔で言った。
「なんか、いっつもあいつらとタイミング合いませんよね」
「ふふ、そうだね」
思えば、こうして会長と二人きりで作業をするのは珍しい事じゃなくなってきてる。
いつも何かある時は俺しか手が空いてなくて、俺としてはそれでもいいんだけど…
「そうだ。ねえ新。この仕事が終わったら、お昼休みに良いものを見せてあげる」
「…?良いもの、ですか?」
パチン、と最後の資料を留めた時、会長はそう言いながら頭を撫でてきた。
「今日のお礼だよ。楽しみにしててね」
「??」
少しニヤついた会長が言った『良いもの』
一体なんだろうと思いながら昼休みを迎えた。
『成海には内緒で来てね』と、そう言われていたのを思い出し、昼飯を眼鏡と食べてその後は適当な理由をつけて一人で生徒会に来た。
けど、まだ生徒会室に会長は来てなかった。多分、まだ昼飯食ってんのかな?って思ったから、とりあえずソファに座って会長が来るのを待ってた。
その間、昨日の出来事を思い出す。
しかし思い出しても腹立つな。眼鏡のお袋さんはすげえ良い人なんだろうけど、なんでだ?眼鏡と性格が似過ぎ……というか眼鏡を超えてる気がするから、なんか仲良くなれそうにねえ…
「ゔ…」
とびきりスマイルで目をハートにしたお袋さんが俺に飛び付いて頬擦りした時の感触を思い出してしまい、ぶるりと体が震えた。
蛙の子は蛙って言うし、もしかしたら年月が経つといつか眼鏡もあんな風になるのか?
…目をハートにして、思いっきり俺に抱きついてきたりする日が…
「ないないないない」
それは気持ち悪い。あいつが目をハートにするとか…あくまで性格の話であって、性癖まで似るわけがない。
というか、もしそうなったらキャラ崩壊レベルじゃねえか。考え過ぎだ俺の阿呆め。
「ごめん遅くなった‼︎」
頭を掻いていると、生徒会室の扉が勢いよく開いた。
入ってきた会長は息を切らしていて、そして何故かいつもはきっちり制服を着こなしてる会長のシャツは前ボタンがいくつか外れていて、ネクタイも緩んでる。
「け……喧嘩ですか会長‼︎」
「ち、違うよ…これはちょっと色々あって」
会長の制服が乱れてるなんて大問題だ‼︎と騒ぎだそうとした俺を会長は宥める。
大丈夫ですか?と聞くと会長は本当に大丈夫だよと言った。
そして二人して息を整え、ソファに座る。
会長は制服を正して、再度俺に「呼び出したのに待たせてしまってごめんね」と謝ってきた。
「俺も今来たところなんで大丈夫ですよ」
そう返すと、会長は微笑んだ後、会長机の引き出しの中から何かを持ち出し、それを俺に渡してきた。
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