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しちゃいけない
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あいつが勝負事を申し込んでくるなんて、一体急にどうしたんだ?
ゲーム機要らねえって言ってたけど、ならトランプゲームとか?いやでも、俺んちトランプねえし、無難にじゃんけんとか?いやそれは無い。
「…………」
「…♪…〜♪…」
食器を洗いながら、椅子に座ってご機嫌に鼻歌を歌う眼鏡を見る。
つか、こいつが鼻歌とか、ほんとにどうしたんだ?
「眼鏡……ゲームって何すんだ?」
「ナイショ」
「…………」
ナイショって……焦れったいなクソが…
「終わったぞ」
「ん」
とりあえず、洗い物は済んだ。
手をタオルで拭いて眼鏡の方を向く。
「んで、何すんだよ?」
「まず場所移動しようか」
「は?」
眼鏡は立ち上がり、俺の手を引いた。
もうこいつが何をしようとしているか全然分かんなくて、それでもとりあえず眼鏡について行った。
そして、移動した先は俺の部屋。
「?おい眼鏡…」
部屋に着くと、眼鏡はベッドの上に座って、ベッドをポンポンと叩いて俺もここに座れと誘導された。
誘導されるがまま、俺は眼鏡の目の前に腰をおろす。
「…?…おい、ほんとに何すんだよ…」
「…んー…」
そしたら、眼鏡が俺の腰に手を回して急に抱き寄せて来たから、キスされると思って目を瞑った。
「っ、おい、眼鏡っ……」
「………………」
「……………」
「…………」
「……っ、?」
だけど、キスされた感触はしない。
「……め、…めがね?」
不思議に思い、パチリと目を開けるとすぐ目の前には眼鏡の顔。
顔面スレスレで、鼻と鼻が当たりそうな距離。
「……こういうゲーム」
「……え…?」
眼鏡はそう言うと、にんまりと笑った。
そして眼鏡が言った言葉に俺はぽかんとする。
こういうゲームって……
「キスしちゃいけないゲーム」
「は?え?」
「一回やってみたかったんだよな。お前と」
「………………」
頭の中で、“キスしちゃいけないゲーム”と言う眼鏡の言葉がリピートし、そのゲームについて理解すると顔がボンっと熱くなった。
「ちょ、ちょちょちょちょっと待て‼︎それ聞いた事あるぞ‼︎んな恥ずかしい事なんでてめえとっ‼︎」
冗談じゃないっ‼︎
腕相撲とか殴り合いとか取っ組み合いならともかく、こいつが仕掛けてきたゲームが「キスをしちゃいけないゲーム」とか‼︎
んな小っ恥ずかしい事出来るか‼︎
「いいじゃん。我慢強さの対決だよ」
「っ…お前なぁ…」
男同士でこれは何の需要も無いんじゃ……
「ほら、俺が顔近づけたらお前は逃げなきゃいけねえぞ」
「っ‼︎」
また抱き寄せられて顔が近付く。
眼鏡は唇が当たりそうな距離まで来ると、キスはせずにそこで止まる。
「あ。目を閉じるのは無しな」
「おい…勝手に始めるなよ…」
「ゲームしてもいいって言ってくれたじゃん」
「…………けど」
「するからには負けねえんだろ?」
「…………」
こいつ……
「はい、新もちゃんと攻めて」
攻めてってお前……
「……先に折れてキスした方が負けなんだな?」
「そ。まぁ折れるのはお前だろうけど」
「はぁ?んな訳ねえだろ折れるのはお前だろ」
「どうかな。お前我慢するの苦手じゃん。だから新が負けると思うけどなぁ」
「……っ…てめえ」
こいつ、ほんとに挑発すんの上手いな。
眼鏡が何をしたいかは大体分かった。
ダチからこのふざけたゲームの事は聞いた事あった。
惚気た奴らがする恥ずかしいゲームだと思ってたけど、まさか俺と眼鏡がそれをするなんて…
だ、だけど、これならワンチャン俺に勝ち目はある。
要はキスしなきゃいいんだろ。
んなの簡単じゃねえか。
「ふっ、顔真っ赤なんだけど?」
「るせぇ黙れ…」
今度はぐっと俺から顔を近付ける。
眼鏡はそんな俺を見下ろして、目を細めたり、時々口を開けて舌を出したりしてくる。
でもお互いキスはしない。
唇が触れそうになると、頭を引いて絶対唇が触れ無いようにする。
「新……キス…してもいいんだぞ」
「…しねえし…」
これは絶対負けられない戦いだ。
でもこんなの長時間は絶対無理だ。心臓が破裂する。
「お前こそ…んな我慢しなくていいんだぞ」
さぁ、俺より先にキスしやがれ。
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