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5分
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我ながらこんなゲームを提案するとかどうかしてると思うけど、今日、新と一緒に居てぽつんと思い付いた事だった。
ゲームの内容を話せば断られると思ったけど、新はすんなりと受け入れたようだ。
ゲームを始めて5分くらいかな。
何もしないまま向き合って、顔を近付けては離しての繰り返し。
俺が顔を近付けて、キスしそうになるその寸前で頭を引くと、新は何故か舌打ちをする。
「……あのさ、新」
「んだよ」
それともう一つ。
「なんで睨み効かせてくんの?」
新は顔は真っ赤なくせに、やたらと眉間にしわを寄せて俺の事を睨み付けてくる。
「普通さ、もっとこう…上目遣いとかさ」
「はぁ?なんでそんな事しなくちゃならねぇんだよ」
「いや…うん……」
まぁそれは俺のモチベーションが上がるから…とは言わないけど。
普通ここは可愛らしく誘ってくるとこだろ。
「つか、てめえ結構粘るんだな」
「俺は全然いけるよ。むしろお前からキスしてこねえとこのゲーム終わらないと思うけど」
「ざけんな。そのセリフそのまま返す」
「…………」
あれ、このゲームってもっとこう……可愛らしいゲームになるはずだよな?
「新さ……ちょっと離れすぎじゃない?」
「っ、てめえが近過ぎるんだよ」
引き寄せようとすると思いっきり腕で押し退けられる。
俺的にはもう少し密着したままでやりたいんだけど。
「おら、キスしろよ」
そしてこれだ。顎を使ってものを言ってくる。
どうしてこいつはこんなにも喧嘩腰なのか。
「だからそれじゃ駄目だって…」
「は?…んだよ駄目って」
もう少し可愛く言えないのかこいつは。
「わっ、」
ため息を吐いた俺を見て、首を傾げた新の腰に手を回し引き寄せると、新の体勢が崩れ俺の胸にもたれかかってきた。
「だ、だから近いわボケ‼︎」
「新」
「…っ‼︎」
また俺を押し退けようとしたから、ぎゅっと抱き締めてみる。
「……め、眼鏡……っ…」
ああ、大丈夫だ。
「これじゃゲーム出来ねえだろが…っ…」
ちゃんと新もドキドキしてる。
「はぁ……マジでお前に喧嘩売られてるのかと思ったわ」
「っ、は?」
だってムードが皆無だったから。もしかしたら新は俺とガチ勝負をしようとしてるのかと思った。
一向に折れないし。
「5分って長いのな」
「…………そ、そうか?」
ゲーム始まって5分。ちょっとだけ休憩。
新を抱き締めて、とりあえず休憩。
「長いよ。お前が全然折れてくれないから」
「お前俺の事舐め過ぎだぞ…」
俺だって我慢くらい出来る。と小声で新は言った。
「なに?じゃあ俺とキスしなくても平気ってこと?」
少し体を離して新の顔を見下ろす。
髪を撫でながら「そこんとこどうなの?」と聞くと、新は少し黙った後、急に腕に力を入れて俺の事を抱き締め返してきた。
「……ねえけど」
「ん?」
声が篭っていて、よく聞こえない。
もう一度言ってと囁くと、相変わらず睨みを効かせた顔付きで、新が俺を見上げた。
「平気なわけじゃ……ねえけど……」
「………けど?…」
「…っ……俺だってしたいけど…お前が折れてくれねえから……」
「…………」
上目遣いでもなんでもないし、すっごい不機嫌そうな顔してるのに、この時新が呟いた言葉は俺の我慢という糸を切るには十分過ぎるものだった。
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