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端から見ればバカップル
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「ラーメンといえば塩だな」
「醤油だろ」
「うどんといえば?」
「きつね」
「かき揚げだろ」
「…お前とは一生分かり合えねえな」
「食に関してはな」
「…………」
はぁ、と同時にため息が出た。
眼鏡に腕枕をされたまま二人して仰向けになって寝転び、事が済んだ後こんな話しをした。
いや、やり取りか。
どっちからと言えば俺だけど、淡々と答えた眼鏡も眼鏡だ。
久しぶり?だったかな?……こいつとセックスして、珍しくときめきを感じた一夜だったけど(珍しく‼︎)、そんなの俺達の間柄、長く続く訳がない。つか続けさせねえ。
「お前、なんで苦いの嫌いなんだ?」
「え、今それ聞く?」
「聞く」
「…………」
ゴロンと眼鏡の方に体を向けてみる。
「あ〜…うん」と変な返事をしながら、眼鏡は腕枕をしてる方の手で俺の頭を撫でてきた。
「コーヒーとか飲んだら喉痛くならね?」
「ならねえよ」
「イガイガしない?」
「しねえよ」
「……お前とは一生分かり合えないな」
冷たい視線を落とされた。これは死んだ魚の目だ。
「ほんとにお前ガキだな」
「嫌いなものは嫌いなんだよ。好き嫌いなんて誰にでもあるだろ」
「俺はあんまねえぞ。コーヒーも飲めるぞ」
「へぇーすごぉーい大人ー」
「…………」
こいつ………
完全に棒読みで心がこもって無い眼鏡の言葉。
人を小馬鹿にした態度を取ったこいつの頬っぺたをぎゅ、と摘んでやった。
「いてぇよ」
「痛くしてんだろ」
「なに?俺の真似?」
「どうだ?腹立つだろ?」
「別に?」
「……………」
……こいつ……
更にぎゅっ、と強く摘んでやると、眼鏡は視線をこっちに向けてきてニタリと笑った。
馬鹿らしくなって手を離すと、その拍子に眼鏡がガバリと体勢を起こし俺に跨ってきた。
「……っ…」
やばい仕返しされる、と思ったけど、眼鏡は軽いキスをしてきただけだった。
あまりにも優しいキスだったから、逆にそれがびっくりしてしまう。
パチリと目を開けると、俺を見下ろしながら眼鏡は笑みを零した。
「どう?腹立つ?」
その顔の憎たらしさと言ったら。
なんて表現してやればいいんだ。
とりあえずぶん殴りたくなった。
「……べ、別に?」
ガチガチに身構えてしまった自分が恥ずかしいわ。
つか、これ端から見ればただのバカップルだろ……
「今日もいっぱいついてる」
「は?……なにが?」
「俺が付けた跡」
人が羞恥心に捉われそうになった時、トントン、と眼鏡は自分の首を指でさした。
その眼鏡の仕草の意味が分かると、俺は自分の首を手の平で覆い、それと同時に一気に顔が熱くなった。
「お、お前っ‼︎あんま見えるとこにすんなって言ってんだろ‼︎」
「はは、嬉しいくせに」
だからお前それやめろ‼︎‼︎嬉しくねえわ‼︎‼︎
「ど、退け‼︎」
「おっと…」
眼鏡を押し退け、俺はベッドから降りた。
俺の事を呼んでる眼鏡を無視し、首を押さえたまま洗面所に向かう。
「くそ……」
洗面所に着き、鏡の前に立って自分の首元を見てみる。
「これ隠すの大変なんだぞ…」
ああもう、また阻止出来なかった。
首から下、全身にかけてキスマークでいっぱいだ。
毎度の事だけど、やっと前に付けられた跡消えそうになってたのに。
会長にまた注意されるじゃねえかよ。
「…痛って…」
ゴシゴシと擦ってみるけど、まぁ酷くなるのは当たり前で。
「はぁ、どうすんだよ」
「新〜?」
部屋の方から眼鏡が俺を呼んでる。
人の気も知らないくせにわざとらしい呼び方がこれまた癇に触る。
「はぁ……」
何回目だろう。俺が部屋に戻ったらきっとあいつは俺を見てニヤニヤするはずだ。
それを考えたらまたため息が出た。
さて、あいつになんて文句を言ってやろうかと考えながら洗面所を出ると、玄関の方から物音が聞こえた。
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