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信じたくない
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“俺もちゃんと確かめなかったからもしかしたら見間違いかもしれねえけど、その……さ……”
「っ‼︎」
鞄を投げ捨て、その場から一目散に走り出した。
まだ電話の内容が頭の中に残ったままで、動揺と混乱でいっぱいになりながらもただひたすら走った。
「なんでっ……‼︎…」
交差点をいくつも走り抜けた。
信号が赤だった交差点もいくつかあった。なのに、それでも俺は気にせず走った。周りなんて見えてなかった。
「…っ…あいつ‼︎……」
走りながら眼鏡に繋がる携帯番号を押す。
だけどすぐに途絶えてしまい、あいつが電話に出る気配は一向に無かった。
使い物にならない携帯を握り締め、全力疾走で駅にたどり着き、電車に駆け込んだ。
ドアが閉まるギリギリのところで飛び込んでしまったから、周りが少しざわついている。
でも、今はそんな事どうだっていい。
電車の中でもう一度眼鏡に電話をかける。
それでもあいつは出なかった。
「っ…くそがっ‼︎‼︎」
焦りと苛立ちが募り、思い切りドアを叩いてしまう。
どうしても、秋人から聞いた事を信じたくなかった。だから一刻も早くあいつと連絡を取らなくちゃいけない。
なのに、なんであいつは電話に出ねえんだ…
「…俺にも言えない事って……っ……」
冷静になるんだ。このままじゃ何も考えられない。
きっとあいつなりに考えがあって……
でも、この件については、俺が動くべきだった。動かなくちゃいけなかった。もっと早くに……っ…
なのに俺は何もしなくて、だから今回もあいつがこうやって………
だとしたら……
「っ勝手な事してんじゃねえよ‼︎……」
また、ダンッ、とドアを思い切り叩いてしまう。
眼鏡が取った行動は、俺の為を思ってなのか、それとも……
「…っ……」
もう一つの可能性を想像してしまった瞬間、ブンブンと頭を振ってその想像を払い退ける。
今は確かめる事が最優先だ。変な考えはするな。
そう何度も自分に言い聞かし、何度も眼鏡に電話をかけた。
“その……さ……”
「っ‼︎」
秋人の言葉が頭の中に蘇る。
「違うっ……絶対に違う…‼︎…」
見間違いだ。だってあいつは、そんな事する奴じゃない…っ…
あいつと、母さんが……そんなわけ……
「………ねえだろ…」
“……腕…組んだまま………”
違う……違う…っ……見間違いだ……
“……………………………………ホテルの……中に………”
「っんなわけねえだろ‼︎」
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