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出題者
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会長に呼び止められ、体の向きを変える。
もう一つ話しがあると言われ、再び俺と大崎は目を見合わせた。
「すぐ済む話しだから」
会長はにこりと笑ってそう言った。
だけど、眼鏡の事が気になって気になって仕方なくて、生徒会室の入り口にばかり意識が向いてしまう。
「話しって…」
眼鏡抜きで、俺と大崎に一体何の話しがあるんだろうか。
一刻も早くその話しとやらを聞いて、あいつの後を追わなくちゃいけない。
「あの、会長っ俺…」
胸がざわざわして落ち着かない。
会長が今から話す事はとても大事な事かもしれない。ちゃんと聞かなくちゃいけないってのは分かってるけど、今はあいつの事で頭がいっぱいで…
「新、大丈夫だよ」
「っ……」
会長の声が聞こえ、ハッとする。
ふと顔を上げると、にこりと微笑む会長と目が合った。
「手」
「……え」
会長が俺に向け指をさす。
そして気が付いた。
「そんなに強く握ったら、痛いでしょ?」
「………」
目を落とすと、俺は無意識に拳を強く握り締めていた。
ゆっくりと手を開くと、皮膚にめり込んだ爪痕が赤く滲んでいる。
「渋谷君……」
大崎が隣から心配そうに俺の手を覗き込む。
「すみませ、……俺…」
何してんだ、俺は
慌てて両手を後ろに回し、会長に向かって頭を下げた。
会長が話しをしてたのに、全然集中してなかった挙句、こんな醜態を晒してしまうなんて。
「渋谷君っ、絆創膏……」
「や、大丈夫……さんきゅーな」
「きちんと手当しないと駄目だよ。大崎、貼ってあげて?」
「会長っ、俺ほんと平気…」
手当は必要ない。 と大崎に向け手の平を向けた瞬間、両手を掴まれてしまった。
そして大崎はポケットから絆創膏を数枚取り出し、手際よく手当をし始める。
「わ、わり……」
絆創膏が張り終わるまで大人しくしていると、また会長がにこりと笑った。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「え…?」
何を、ですか?
そう聞こうとした時、大崎が「これでよし」と、最後の絆創膏を貼り終えた。
「さて、じゃあ話しを戻そうか」
そして会長にその事についてを聞けないまま、例のもう一つの話しが始まってしまった。
「新メンバーが加わるって事は、それと同時に何が起こると思う?」
そう問いかけられ、少し考える。
「……役割が変わる、ですか?」
先に答えたのは大崎だった。
「そう。だけどもう一つその前に何かない?」
まるで簡単なクイズの出題者を楽しんでいるかのような会長は、にこにこと微笑みながら首を傾げた。
「3年の、引退……ですか?」
次に答えたのは俺だった。
「大正解」
俺が答えた事に対し、嬉しそうにそう返してきた会長とは裏腹に、俺自身の内心はあまり良いものではなかった。
引退なんて、まだそんな話ししなくていいのに…
そんな事を思ってしまう。
「じゃあ、これから僕が言おうとしてる事分かるよね?」
言おうとしてる事?
2人して首を傾げると、会長は先程までとは打って変わり、真剣な表情を見せ口を開いた。
「君達2人の内、次に会長になるのはどちらか」
「‼︎」
「‼︎」
ビリリと 確かに背筋に何かが走った。
会長の声は真剣そのもので、向けられた視線も真っ直ぐと俺達を捉えている。
「次の、会長……」
「……っ…」
そう呟くと、大崎と目が合った。
伝えられた事に対し、全く頭がついていかない。
俺と大崎、どちらかが、次の会長に……?
「そんな……」
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