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たまらない
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そんなの当たり前だろ。
そう返すと、新は一層強く俺の胸にしがみ付いてきた。
嫌いになるな。なんて、俺の台詞だ。
俺が余計な事をしたから、お前はこんな事を知る羽目になった。口を出さなければ今まで通りでいられたかもしれないのに、きっと今回の件は新を酷く傷付けてしまう事だったに違いない。
けど本音を言えば、俺は余計な事をしたとは、思ってない。
あのままだったら新はどうなっていたのか。
新の母親はどうなっていたのか。
何もしないままだときっと後悔するところだった。
非情だと思われただろうか。
新の母親に、証拠写真を撮るためにはそれ相応の事をしてもらわなければならないと頼んだのは俺だ。
もし、頼む相手が新だったなら、絶対にあの男の元へは行かせなかった。
手っ取り早い手段を選んだけど、その選択が出来たのは、相手が新じゃなかったからだ。
俺は、新以外の奴はどうでもいい。
たとえそれが一番大事な奴の母親であろうと。
「……めがね……シてえ……」
ボソリと聞こえた言葉。
顔は俺の胸に埋めて、泣いた後みたいな声でそう言ってきた新の頭を撫でる。
「こんな時に何言ってんだ」
「……っこんな時だから……シてえんだよ……」
「……………」
嗚呼、俺はつくづく最低だ。
こうやってお前が俺の腕の中で、縋り付きながら俺を求めてくる。
「今は頭ん中がゴチャゴチャしてんだ……」
「……うん」
自分の身に降りかかった最悪な出来事の中で、もがきながら手を伸ばすのが俺であるというこの優越感。
「どうにかしろよ……いつもみたいに…何も考えらんなくなるくらい……俺の事、めちゃくちゃにしろよ……」
「……でも、いいのか?…………」
「…………お前だから……いい………」
「…………」
たまらない。
こいつが求めてくるのが俺だという事。こいつの全部をめちゃくちゃに出来る権利が俺にはあるという事。こいつの全部が俺の手の中にあるという事に、たまらなく興奮する。
「新……」
横髪にキスをして、頬に触れる。
傷付いた新の顔。泣きそうな目。柔らかい唇。
腰に手を回して、そっと顔を引き寄せる。
震えた体が愛しい。こんなに弱ったお前が、可愛い。
「ふっ、……ン……っ」
上唇を強く吸って、歯列をなぞり、舌を侵入させる。
唾液が交換される音が、いやらしくその音を立てながら鼓膜へと響く。
「は、……っ……あ、ん……」
「新……っ……ン……」
吐息が混じり合う。
キスをしながら新の髪を撫でると、また泣きそうな目をして俺を見上げてくる。
「新…………新……」
「……っ……あっ」
何も考えられなくなるくらい、全部どうでもよくなるくらい、お前をぐちゃぐちゃにしてやる。
「なる、み……」
「…指、噛むな」
「うっ……」
ベッドの上で、声が出なくなるくらい。
これ以上嫌だとお前が言っても、泣いたとしても、絶対やめない。
やめてやらない。
「声出せよ……ほら」
「っ‼︎や、ぁ」
熱を持った新の体は、触れるだけで快楽に落ちていく。全身にキスをして、抱き締めて。
新にとっては、この行為自体、気を紛らわすただの手段だったのかもしれない。
「新……」
でも、それでも別に構わない。
「愛してる……」
「っ、」
それ以外、お前に何を伝えよう。
「お前の綺麗な目も、強がりでわがままなとこも、全部……」
「……っ……」
あとどれくらい、その言葉を言えば、お前の全部を独占出来るのだろうか。
誰も入る隙間のないくらい、お前の全部を独り占めしたい。
泣く理由も、傷付く理由も、笑う理由も、全部俺であってほしい。
「……愛してる……新」
「っ……やめろよ……いきなりそんな……」
「なんで……嬉しいだろ」
「……べ、別に…………」
高揚感が増す。そうやって顔を赤くしながら、俺に手を伸ばすお前を見ると、俺は…………
「ほんと……たまんねぇな…………」
ボソリと呟いた言葉。
お前は聞こえていただろうか。
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