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これからどうしていくのか、どうしていくべきなのかを、目が覚めるとお互い話し合った。
今はできる事が限られているけれど、少しずつ母親との関係を取り戻していくと新は言った。
本当は朝起きたらどこにも行かせたくはなかったけど、話し合いが済んだ後、身支度を済ませ新は自分の家へと帰ってしまった。
あいつが帰った後、シャワーを浴びようと浴室に向かい鏡の前に立った。
体のあちこちに出来た新の歯型が、赤くなって残っている。
触れると、少しだけズキっと痛みが走る。
ここも、ここも、こっちにも、あいつが付けた痕がある。
「………………」
新は今頃、家に着いて母親と会っているのだろうか。
俺が同じように付けた痕を見て、母親は何を思うだろうか。
「…………ははっ…」
歯型を指先でなぞってみる。あいつが俺にしがみつきながら、俺自身を受け入れながら、必死に強請ってきた時の事を思い出した。
ぐちゃぐちゃに、どろどろに、頭の中が真っ白になるくらい犯してほしいと、あいつの口から聞けた。
こんな状況になって、あいつ自身 最悪な思いをしてるのに、何故か満足感に満たされる。
「あぁ……」
消えなければいいのに。あいつに付けた俺の痕が、この先一生消えなければいいのに。
シャワーを浴びながら、少し考えてみる。
今日はこの後どうしようか。
朝食を作って、部屋の掃除をして、テレビを見て……
その後は、何をしようか。
「…………」
キュ、とシャワーを止め、深呼吸をする。
あいつのにおいが洗い流され、少し物足りない気持ちがこみ上げてきた。
風呂から出て、タオルを肩にかけ部屋に戻る。
携帯をとり、あいつに繋がる電話番号を画面に表示させたところで手が止まった。
ついさっき、あいつの声を聞いたばかりなのに、声が聞きたいだなんて。
そんな事を言ったら、新はなんて思うかな。
母親とはどうなった? 大丈夫だった?
ちゃんと話しは出来た? 仲直りした?
気になるけれど、今は俺から電話はしない方がいい気がする。
新の一番は、全部独占したいけど、あいつの事を一番に思う奴が俺以外にも居るという事は、案外悪くないかもしれない。
ただ、次会った時、あいつの母親になんて言われるか分からないけど、何を言われてもあいつを離すつもりはないと俺は答えるだろう。
「……きれい、ねぇ」
ぽつりと、昨夜あいつが俺に向かって言った事を思い出す。
きれい、か…………全く。あいつは何を見てそう言ったのか。
こんなに汚れた気持ちを抱いた俺を、そんな風に見るだなんて。
俺はね。本音を言えば、別にお前と母親の関係がどうなろうと別にいいと思ってる最低な奴だよ。
いっその事一人になって、俺のところに来ればいいのにって思ってる。
「…ほんと………可哀想な奴」
馬鹿だな……新…
俺なんかに捕まって。
どんどんお前が俺の色に染まってくのを見るのが、一番楽しい。
可哀想で、憎たらしくて、可愛くて、愛しい奴。
新が傷付いている姿を見るのが楽しいと思っている自分がいる。泣いてぐちゃぐちゃになった顔が可愛くて仕方がないと思っている自分がいる。
表面上隠せても、もっとあいつを追い込みたいと思っている歪んだ思いを持った自分がいる。
こんな俺を綺麗だなんて。
「ふー……」
携帯を閉じ、天井を見上げた。
俺には、お前の方が断然綺麗な奴だと思うけど、あいつはきっと自信なさ気に「綺麗じゃない」って答えるんだろうな。
「……あいつ……どうなったかな……」
四六時中、気がつけばあいつの事ばかり考えてる。
俺も……もう手遅れな程に、あいつの色に染まってしまった。
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