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愛情の裏返し
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小さい頃から、美しいものや綺麗なものが好きだった。
キラキラしたガラス玉や、美しい色をした花。
綺麗な装飾が施された骨董品や、その他色々……
綺麗なものは、自分のものにしたくなる。
この手に取って、間近でそれを見て…
ただただ、ボクはそれらを集めるのが大好きだった。
そして何より、その美しい物を自分の手で汚し、壊す事に快感と満足を感じていた。
だけどどこか満足出来ない。
無機質なものばかりで、壊れてしまえばただのガラクタだ。
「先輩……せんぱい……」
月島先輩に出会ったのはボクがまだこの学校への入学を決める前の事。
「月島先輩……まつ毛長いですね…ああ、肌も綺麗……」
ボクがこの人を見つけたのは、高校受験を控えたその年のちょうど今頃。
当時通っていた学校に、この人はやって来た。
ただの学校案内だった。新しい新入生獲得の為に、その学校の“会長”として、この人はボクの前に現れた。
「先輩……覚えてますか?……ボクはあの時から貴方の事をずっと見てたんですよ」
金糸のような美しい金髪。透き通るような白い肌。
青い瞳は光を受けて輝き、それはまるで宝石のようだった。
ボクは衝撃を受けた。
この世に、こんなにも美しいものがあるのかと。
「月島先輩……起きて下さい……」
この人を見つけた日から、ボクは他の美しいものには目がいかなくなった。この人以外のもの全てが汚らわしく思えた。
集めたコレクションは全て破棄し、やがてボクの部屋はこの人でいっぱいになった。
だけど、先輩を見てきて、ボクは気付いたんだ。
ある日を境に、先輩が放つ輝きが鈍くなっていた。
言うまでもない、あれは去年、ボクが文化祭の演劇を観に行った時だ……
月島先輩は、同じ生徒会の渋谷新という人物にキスをしていた。
あれは演技なんかじゃないとすぐに分かったよ。
………ボクは絶望した。
先輩を汚すやつが、ボク以外に居ていい訳がない。
「……先輩……もう大丈夫ですよ…ボクが居ますから」
生徒会……美しい人達が集まるボクにとっては楽園のような響き。
上城先輩の人を刺すようなあの冷たい眼差しの中に光るものや、渋谷先輩の月島先輩と同じ青い目も、大崎先輩の綺麗な肌と大きな目も……本当は全部ボクのものにしたいけれど、その中でもやっぱり1番は月島先輩だよ……
「う……」
「‼︎先輩……っ」
目をゆっくりと開く先輩。
綺麗だ……綺麗だ…………ああ、早くボクを見て……
「み……ずた……く……」
「はい……ボクです」
「……ここは……」
「ボクの部屋ですっ……先輩とボクの……」
「っ……?……」
先輩と同じ学校に入学して、ここまで長かった。
「先輩…見て下さい……ほら、ボクこんなに集めたんですよ」
「……なっ……」
壁一面、隙間なく貼り付けた月島先輩の写真。
ああ、写真なんかよりずっと綺麗な月島先輩が今ここにいる。
「っ‼︎」
ガシャン、と鉄が擦れ合う音が響く。
「駄目ですよ先輩っ……そんな強くしたら」
「ゲホッ、ゲホッ」
「あーもう、余計に喉痛くしますよ」
「ぐ、……なに、これ……」
「何って、首輪ですよ?あと鎖。こうしないと先輩逃げちゃうでしょう?」
「っ……」
……イイ……やっぱり青にして正解だった。
月島先輩の目の色が変わる。
恐いのかなぁ……怒ってるのかなぁ。
「ふふ……先輩のお家で飼ってる猫ちゃんのと同じ色の首輪ですよ」
「水田くん……っ……なんで君が」
なんで、って?そんなの聞かないと分からないのかな。
「月島先輩……」
「っ‼︎」
「ボクのものになって下さい……」
ボクからの愛を詰め込んだこの部屋で、先輩と二人きり。
「ボクだけの宝物になって下さい」
やっと始められる。
今日この日から、ボクと先輩の日々が始まる。
先輩は、きっと喜んでくれるよね?
「先輩……ねえこっちを見て下さい……」
「ぐっ‼︎」
首輪に繋がる鎖を引くと、先輩は苦しそうな顔をする。
顔は真っ赤だ。もしかして、熱上がっちゃってるのかな。
「…頭痛いですか?……どうしよう…先輩熱が……」
「ゴホッ……ゲホッ」
「駄目ですよっ動いちゃ‼︎……ほら、こっちを見て……口を開けて下さい」
「っ、やめ……」
抵抗する先輩の力は弱く、簡単に抑えつける事が出来た。
頬を抑えつけ、先輩の口の中に無理やり指を入れる。
ヌルッと生暖かい感触が指に広がる。
「先輩……もっと口を開けて……喉が腫れてないか見てあげます」
「く、……はっ、ゔ、……」
「口の中アツいですね…駄目です先輩…噛んじゃ駄目です」
「っ‼︎…は、っ……」
ポタポタと先輩の口から唾液が零れ落ちる。
もったいない……せっかくの先輩の唾液なのに……
「ゲホッ‼︎ゲホッ‼︎…ゔ、ぇ……」
口から指を引き抜き、床に落ちた唾液をなぞり指に取る。
ペロリと舐めると、全身がゾクゾクとして堪らなかった。
「今風邪薬持って来ますから……イイ子にしてて下さいね」
「はぁっ、はっ……は、ぁ……」
どんどん、どんどん……この部屋の匂いが先輩のに変わっていく。
「あ……でも声出されたらまずいな……」
ここにずっと欲しかった人がいる。
やっと手に入れたんだ。簡単には逃さない。
「んンっ‼︎」
「少し苦しいかもしれないですけど、我慢して下さいね」
手足を縛った後、布を咥えさせ後ろで結ぶ。
先輩は尚も絶望した目でボクを見上げていた。
「大丈夫ですよ先輩……すぐに慣れますから」
ボクは、先輩が好きだ。
それは人としてではなく、コレクションとして、先輩を心から愛している。
だけど、こんなに先輩の事を愛してるのに
あんな奴と先輩は……
「月島先輩…」
人間は、一体どこまで追い込めば壊れてしまうのだろうか。
破壊は愛情の裏返し。
ボクはずっとそうだと信じている。
「これからボクが……いっぱい“愛して”あげますね」
だから、この人の体に傷をつけたあいつを、
ボクは絶対に許さない。
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