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当たってます
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「新‼︎」
焦りが募る中、屋上に繋がる扉を開くと、新が俺の方へと振り向いた。
「はぁっ、はっ……」
「め、眼鏡…なんでここに」
すぐに新の声が返ってくる。扉を開けて1番最初に見つける事が出来て心底ホッとしてしまう。
「なんでじゃないだろっ……お前こそ何してんだよ」
なんだ?……全然怒ってねぇじゃねえかよ……
連れ戻す為に新の腕を掴むと、目の前にもう一人誰かがいる事に気が付く。
「誰?」
「ほら、俺が見てやってる奴。つか痛ぇよ離せ」
手を振り解かれ、新は目の前の奴と向き合うが、二人がどうしてこんな場所に居るのかが理解出来ない。
「帰るぞ」
「待てって。なんか大事な話があるんだと」
大事な話なら、別にここじゃなくてもいいだろ。
つか、俺よりこいつを優先した事の方が問題なんじゃないの?
それでもって俺に待たせてごめんの一言も無しとか……
「大事な話ってなに?早く済ませてくれないかな」
駄目だ……落ち着け。
イラついてる場合じゃないだろ。とにかく、俺の勘が外れて良かった。
目の前の奴は固く口を結んで一向に喋ろうとしない。
「喋る気ないなら日を改めてくれる?もう今日は遅いし」
「おい、なんでお前がそういう事言うんだよ。つかお前が来たからこいつが喋らなくなったんだろが」
俺が来なかったら何を二人で話すつもりだったんだ。
大人気ない事は自分でも分かっているけど、新が誰かと二人きりになる事はこれまでの経験からして俺が1番恐れている事だ。
「お……二人は…」
思考が食い違い、新と睨み合いを続けていると、5メートル程離れたところにいる一年が口を開く。
「その、付き合ってるん、ですか?」
継接ぎな言葉に、きっと新も思考を揺さぶられた。
途端に眉間にしわを寄せた新が横目で見て来たけど、この状況……どうしようか。
「だ「だったら」」
俺より先に新が答える。
「だったら、なんだよ」
一丁前に俺を背に、堂々と胸を張って答える新に、不覚にも惚れ惚れしてしまう。
こいつなら、適当に誤魔化すかと思ったのに。
相手の雰囲気からして、恐らくは告白するつもりだったんだろう。
つっても、相手は男だけど。
けど、どうやら心配し過ぎていたようだ。
こいつがこう言ってくれている以上、きっと何も心配はいらないだろう。
なんて、俺がただ安心しただけ。
「じゃ、これで話は終わりでいい?」
「待って下さい‼︎俺の話はまだ終わってないです‼︎」
枷が外れた様に、一年は眉を吊り上げて叫ぶ。
泣きそうな目で新を通し俺を睨み付けている様に見えた。
というか、こいつの事が好きとか何なの。
どのタイミングでそんな事になったんだよ。
「あのさ」
新と特別仲が良いわけでもあるまいし、こいつが今お前に構ってやってるのは、樹の指示だからだ。
「…………」
と、口走りそうになる。
「まぁいいや。俺 階段とこで待ってるから」
他人の恋路をどうこう言っていい立場じゃないし。
新の前で言ってしまえば、それこそ格好がつかない。
俺もそろそろ我慢を覚えなくちゃな。
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