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殺したいくらい
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日野の手の平は大きくて、恥ずかしくて顔を逸らしてしまう僕をいとも簡単に捕まえる。
頬を包み込みながら、親指で唇を撫でられて引き寄せられる。
重なるところがどこもかしこも熱くて、懐かしい。
「今日は大人しいなぁ」
「…大人しいってなにさ」
「いやほら、チューはいっつもいっちゃんがリードしてくれるやん」
そう言った日野はそのまま僕の首にキスを落としてくる。
言われた事に対してあまりピンと来なかったけれど、もしそうだとしたら普段は日野の良い様にされるのが何だか腑に落ちなくて対抗心があったからだと思うんだ。
「……っ、は……」
だけど、今は違う……?……
「いっちゃん……何された?」
耳元で優しく囁く日野の声が鼓膜を揺らす。
痺れるような感覚に襲われて、自分の体じゃないように思えてしまう。
「体触られたりした?」
「っ、や……」
「な?怒らんきちゃんと言うて」
「日野っ」
耳の中に舌が入ってくる。恥ずかしい音を立てながら耳たぶを吸われ、軟骨を噛まれる。
「ぅ……っ、は……ここ…」
「ん、ここな」
窓に背をつく日野の膝の上で、無様な格好のままかつて水田くんに触られた場所をひとつひとつ答えていく。
「全部消毒せないかんなぁ…」
「っあ、ひ、日野っ…‼︎」
左胸に吸い付かれ、体が仰け反る。
唇で軽く吸い上げたり、舌先で胸の突起を上下に舐められたりされる。
「…日野……そこはいいから…っ…」
今日の日野の触り方はじれったい。
「全部って言うたやろ」
わざとらしく、チュ、と綺麗なリップ音を鳴らしながら今度は左手でもう片方の乳首を撫でられる。
背筋がゾクゾクして、たまらなくなって日野の肩に顔を埋めてしまう。
「……っは……ぁ…」
窓ガラスには、与えられる熱に当てられ必死に日野にしがみ付く自分の姿。
月の光が眩しくて、窓に反射する自分の肩にあるものが色味を増した。
「…日野……」
「……ん?」
引き出されるのが分かる。
日野に僕の全部が。
「キスしたい……」
体を起こし、日野の頬に手を添える。
少しだけ長い日野の髪に指を絡めながら、求めるようにキスをする。
「…ン……は、…もっと、ほしい」
「……いくらでも」
日野の口の中が温かくて、流れてくる唾液が甘く感じる。
気持ち良くて、キスをしているだけなのにまた泣いてしまいそうになる。
「いっちゃん…次はこっち」
「っ……‼︎」
腰に添えられた手がゆっくりと局部に落ちる。
優しく扱われ、いつもと違う日野の触り方に戸惑いさえも覚えてしまう。
「体熱いなぁ……大丈夫?始まったばっかやけんど」
「…う、うるさい」
普段は強引で力任せにするくせに、僕の反応をいちいち見ながらされるとそりゃ驚きもする。
だってこんなの、ドキドキしない方が変だ。
「あっ…そこ、はっ…‼︎…」
自分の指を舐めた日野は、濡らした指を僕の後ろに挿入してきた。
ズブリと何の抵抗も無く日野の指が入ってしまい、一層体が熱くなる。
しがみ付く手に力が入った。
恥ずかしくて死んでしまいそうなのに、やめてと言えない。
「きついなぁ…これじゃ俺の入らんやん…」
「なに、言って……っ、指…や、ぁ……」
ゆっくりと出し入れされると中が擦れて気持ちが良い。
こんな感覚、味わった事ない。
「はぁ……っ、あっ…う……」
僕だって日野がほしいのに、今は日野に全部奪ってほしい。
その気持ちが強くて、もっと求めてもらい。
だけど今は必死に日野にしがみ付く事しか出来ない。
「ここ気持ち良い?もうちょい慣らすき待ってな…」
日野の声が優しくて甘くて、頭の中を溶かされるようだ。
休む暇なんて与えてくれず、左手で性器を擦られ、右手では後ろの穴を。
どちらからも恥ずかしい音が絶え間無く聞こえ、おまけに隙あらば体中にキスをされる。
本当に、死んでしまいそうになる。
「…指増やすで」
耳元で囁かれた瞬間、異物感が増した。
電流のような衝撃が走り、思わず窓に手をついてしまう。
「痛い?」
「…っ……へ、平気……かも……」
痛いかどうかなんて、本気で気にしてるみたいな顔をして……今まで本気で心配なんてしてくれなかったくせに。
「あと1本は入らんときついやろうし、もうちょい頑張って」
「…っ……」
言ったそばから、日野は指を更に増やした。
受け入れたいのに、体に力が入ってしまい上手くいかない。
「んぅ」
苦しいと感じていると唇が重なり、甘いキスをされ体の力が抜け落ちる。
日野の吐息がすぐ近くで聞こえて……胸がまたドキドキと高鳴る。
「っは……日野……」
「ん?」
「僕も……日野、の……しようか?」
日野がほしい。日野にももっと気持ち良くなってほしい。
「すっごい有り難いけんど、今日は大丈夫」
「な、なんで……」
だって、日野もきつそうなのに。
「言うたやろ〜?これからは俺がいっちゃんを甘やかすって」
いっぱいいっぱいに目を閉じて笑う。
やっぱりおかしい。ずっとドキドキが止まらない。
「それに、俺もちゃんと一緒に気持ち良くなるよ」
「…っ……ぁ」
僕は日野の笑顔が好きだ……
「中がまた締まった……指持ってかれそう」
「そういう事……言わなくていい…っ…」
「んふふ〜、声震えちゅう……可愛い」
「っ‼︎…は…あ‼︎」
冗談っぽく子供みたいに笑う日野が好きだ。
「そろそろ……えいかな……」
僕の体を簡単に丸ごと全部包み込んでくれる日野の体が愛しい。
「いっちゃん、膝立ちになって?腰ちょっとだけ上げて」
「……っ…」
言われた通りにすると、そり立つ日野のものが後ろに当たる。
僕を見上げる日野の目はうっとりとしていて、熱のある瞳に胸がどきりとしてしまう。
「っ…あ〜……きつ…」
「…っい、……」
「ごめん、痛いならもうちょい慣ら…」
「いいっ……から」
早く、早く日野がほしい。
「いっちゃん……無理せんといて」
「してない……っ…」
日野に全部あげたい。僕の全部を日野に捧げたい。
ほしくて、ほしくて、狂いそうになる中、ゆっくりと腰を落としていく。
日野のが僕の中を押し広げ、奥まで入ってくる。
「……っ、は……ちょ、やば」
苦しさなんてどうでもいいんだ。
痛さなんて、別になんともない。
僕に出来る事は日野の思いと同じくらい……いや、その何倍も日野を愛してあげる事だ。
「っは……ぁ…う……っく……」
腰を下ろす度に、奥まで届いて気持ち良い。
「いっちゃん……エロすぎ」
日野もちゃんと気持ち良くなってくれているだろうか。
「……ここからやと、いっちゃんの全部丸見えやなぁ……」
「っ…あ……」
「俺の事……好き?」
「……っ、そんなの……」
…………当たり前だ。
じゃなきゃ、こんな恥ずかしい事絶対しない。
「……好き……っ…に、決まって……」
「ふふ……俺も」
「っあ‼︎」
日野が体を前のめりにさせた瞬間、ズン、と更に奥まで日野のものが届く。
「……っあ……ひ、ひの……」
体が痺れて、ビクビクと震える。
「いっちゃん……名前……呼んで」
向き合い、抱き合ったまま、下から腰を突かれその度に快楽が体に駆け巡る。
「……りゅ、龍…」
「ん…もっかい」
嬉しそうに笑う日野を見ると、僕まで嬉しくて、何度も、何度も繰り返し日野の名前を口にした。
「……いつき」
「…っ‼︎……」
耳元で、名前を呼ばれた瞬間、思わず目を見開いてしまう。
「……俺の全部……樹にあげる」
「…………っ……」
そう言いながら、僕を大事そうに抱き締める日野の背中が窓ガラスに映り込む。
「……ふ……っ…ぅ」
日野の背中にあるものを見ると、勝手に涙が溢れてくる。
「…………馬鹿じゃないの……っ…」
「うん、俺馬鹿やき……」
「……一生君の体に残るんだよ…」
「うん……知っちゅう」
日野は大馬鹿者だ。
僕をいつも困らせる事ばかりする。
「だって俺、一生離すつもりないもん」
日野の背中には、もう一つ新たな刺青が刻まれていた。
なんともないような顔をして、泣いてしまう僕を宥めながらキスをしてくる日野……
「やき……俺からも絶対離れんといて」
時々、日野は捨て犬みたいな目で僕を見る事がある。
これが日野の弱い部分だと僕は知ってる。
「……っ…僕の名前を彫るなんて……これじゃ万が一君から逃げた時…君に殺されるじゃないか」
「ふふん。そうやで。俺から逃げたら許さん……どこまでも追いかけて、俺の手で殺しちゃる」
日野はどんな思いでこれを体に刻んだんだろう。
本気で、一生僕を、僕だけを見てくれるのだろうか。
「……僕だって……君が僕から逃げたら、許さない」
これは、一種の取り引きだ。
僕は日野に全てを捧げる。日野も日野の全てを僕に。
僕達の仲は、きっと普通とはかけ離れたものだと思うんだ。
普通より残酷で、普通より深い繋がりがあって
普通より、きっと何倍も幸せだ。
この気持ちをなんて言い表せればいいんだろう。
いっその事、誰にも邪魔されないように、触れられないように……
「……殺したいくらい……愛してる」
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