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言えばどうなる?
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授業が始まるチャイムが鳴り終わると
辺りは一気に静けさを増した。
その中に、眼鏡の声だけが
はっきりと俺の耳に入る
「樹と付き合うってほんと?」
いつもより落ち着いた声で
いつもよりも冷たい目で俺を見る
「・・だったらなんだよ」
「・・・・・」
そう言うとまた眼鏡は黙った
なんだ?この空気・・・
眼鏡の様子がおかしい
ドクドクと、鼓動が早まる。
会長が話してくれたのかな?
俺と会長が付き合うってなったから
こいつはほんとにもう俺に
手を出してはこないのか?
会長効果すげえな!!嬉
「・・・はっ」
そう考えた時だ。
俯いていた眼鏡が声を漏らした
「なるほどね。俺からそんなに逃げたい?」
「は?何言ってんだよ」
「新さあ、別に樹の事好きでもないでしょ?」
吐き笑うかのようにそう言いながら
少しづつ、俺に近付いてくる
こいつ、確かにいつもより
様子が変だけど、
「なぁ」
「っ!!」
追い詰められ、背中が壁に当たる
大きい影に覆われ、下から見上げると
「そんなに俺から逃げたい?」
出会った時の、
あの冷たい表情の眼鏡がいた。
「あ、当たり前だろ!」
「逃げる為に樹を利用すんの?」
「利用なんかしてねえよ!
俺は会長と付き合うっつってんだろ!
離れろくそっ」
壁に手を突かれ、逃げ道を塞がれる
「なら、樹を好きって言ってみろよ」
「は?」
突然のその言葉に、俺は動きを止める
会長を好き?俺が?
言えばこいつはもうこんな事
してこないのだろうか
だったら、言ってやるよ
「お、俺は・・・」
でも、言えば自分自身が
何かに気付いてしまいそうで
「俺は、なに?」
「か・・・会長が・・・」
それをこいつの前で言ってしまったら
「会長が・・・・好きだ」
初めてのあの感覚を
好きという感情なんだと
それを男に対して思ってしまった事を
こいつに気付かされてしまう
「・・・っ」
口に出した瞬間、
顔が熱くなるのが分かる
俺は、会長が好きなのか?
このうるさい心臓の音は
この締め付けられるような
胸の痛みは・・・なんだ?
「・・・へえ。ほんとに好きなんだ」
眼鏡はまた低い声でそう呟く
「だったら尚更、あいつにはあげない」
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