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あんな事があったな (余談)
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「新!俺はあのクソ野郎をぶっ潰すからな!」
いつにも増して大声でそう叫ぶのは
秋人だった
あれ、つかなんで今秋人が?
あー、また俺倒れたんだわ。
しかもあの野郎に腹殴られて
って事はこれこそ夢だな。
目ぇ覚ましたくねえ。
嫌な予感しかしない。
もうこのまま起きたくないわ。
いっそ秋人の戯言聞きながら
死ぬ方がいい気がする
「新!お前もダチが酷い目に合わされて
黙って居られるのかよ!!」
ん?・・・この場面は確か・・・
「あほか。
お前1人で行かせるワケねぇだろ。」
これは・・・中1の冬・・・
鷹中に入って、
ケンカをすることが多くなった俺は
次第に周りの中学の不良から
目を付けられる事が増え
ある日、当時不良のトップ校だった岩崎中学校
あ、通称 岩中な。
その岩中の不良を取り仕切る頭に
ダチが病院送りにされた
向こうからしたら、
俺に対しての宣戦布告。
それまで鷹中は貧弱だったから
突如現れたこの生意気な俺を
早めに潰したかったんだろう。
「行くぞ秋人」
他のダチも一緒に行くって
うるさかったけど
危ねえ目に合わせたくなかったし
秋人が居れば俺は負けない自信があった。
いつだって秋人が俺の背中を守って
俺が前に進む。
俺が秋人の背中を守って秋人が前へ進む。
そうやってここまで来た。
「お前が生意気な一年かよ」
ざっと30人近く居る。
その1番奥にどっしりと構えるのが
この岩中のトップ
氷崎 恭弥 (ひざき きょうや)
長身で細身の割には
がっしりとした筋肉がついている。
噂じゃ筋肉馬鹿って聞いたな。
タレ目でまぁ顔は悪くない方
でもケンカの仕方は残酷で卑怯な手で
相手を負かしてくるって聞いた
そんな奴にダチが傷付けられたなら
尚更許せるわけがない
「俺のダチが世話になったな。」
「はっ、何?礼でも返しにきた?」
見渡すと体格のいい奴らばかり
さすがケンカトップクラス。
体作りは念入りだな。
そんな事を思い、
周りの奴らのレベルを見切っている時だ
「お前らいい体してんじゃねえかよ」
ぺっと唾を地面に吐いて秋人は言った
いや、秋人それ褒め言葉なの?
変な意味に取れるんだけど
「なんだお前?俺はそこの
ちっこい奴にしか用はねぇんだけど」
そいつの言葉に額に筋が走る
ちっこいっつったなこいつ
死ぬ覚悟は出来てんのかよ
「俺は菅原秋人だ。
一つ忠告しとくけど、
俺が居ると新まじ強いから」
うん、言葉に間違いはない。
間違いはないけどさ、
さっきから誤解を招くような言い方やめて
「つか!そんないい筋肉してんのに
お前らもっと別の事に使えよ!」
「は?」
そうそう。この時から秋人は
変に熱血であほだったな。
「部活しろ!」
「・・・・殺(や)れ」
これが喧嘩の開始の合図だった。
ほんと調子狂うわ。
俺達に向かってその巨体共が押し寄せる
「なぁ、新。」
「なんだ」
「あいつらの持ってるのってさ」
「・・・・釘バットだ」
「痛いな」
「ああ。ありゃ痛い。」
筋肉いい割にそいつらは
ケンカを始めるなり、
釘バットやらナイフやら
何かしら武器を持って向かってきた
そんな中でもまぁなんとか
そいつらを蹴散らして(痛かったけど)
その頭の元まで来たんだけど
「ぐぁっ!!」
「秋人!!」
秋人が氷崎にやられた
頭を掴んで地面に叩きつけた後
秋人の腹に蹴りを入れる
「お前、さっき俺が居ると
こいつは強いとか抜かしてたよな?」
氷崎は秋人の髪を掴んで
秋人を高く持ち上げた
「っ・・・くっ」
「なら、そのお前がダメになったら
そいつはどうなるんだよ?」
そう呟くなり、
また秋人を地面に叩きつける
「てめぇ!!!」
俺は氷崎に掴みかかり
そいつに覆いかぶさった
「っ、おいおいなんだよ。
相棒君がそんなに大事かよっぐッ」
「黙れよ」
「っ・・・くそっがっ!」
殴り返そうとする氷崎の腕を払い
また顔に一発お見舞いする
何度も何度も殴る内に
その感覚すら薄れていった
「お・・・い・・・新!!」
「死ねよ・・・なあ」
「ぐっがはっ・・・」
糸が切れた様に氷崎を殴り続けた
「新!もうやめろ!!」
「っ!!」
「・・・・ぅ・・・ぐ・・・」
気付いた時には秋人に両腕を
後ろから抑えられ
俺の下で動かなくなる氷崎に気付く
「っ・・・新これ以上はやべえよ」
「あ・・・俺・・・」
外でパトカーが来る音が聞こえた
そのまま俺と秋人はその場を去った
次の日、氷崎はしばらく入院して
その後学校を退学したと聞いた。
逃げ切った俺は幸い学校にその事を
知られなかったから何ともなかったけど
あの時の自分は、自分でも
抑えられないくらいに暴走していた。
これが今までで1番の大きなケンカ
いや、度を越してしまっていた。
中2になり、その事を知った
周りのダチが俺を鷹中のトップと
呼ぶ様になった。
でも、ずっと氷崎の事が引っかかって
風の噂で、氷崎は定時制の
学校に入学し直したって聞いて
安心した反面、やり過ぎた事への
罪悪感が俺を襲う。
ケンカから足洗って、
いつかは頭下げに行こうと
思ってたんだが・・・・
「う・・・っ・」
目を開けるとあの時の場面が
鮮明に思い出される
周りには5人。
あの時よりも遥かに少ないが
その奥に
「目が覚めたかよ。」
「氷崎・・・・」
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